女性トップリーダーの登場とアニー・レノックスのクールビューティ

つい最近、ある女性と話した会話の中、「ビジネスの場で日本の女性のトップリーダーは話し出すと大なり小なり高圧的」という話題が出た。その会話は「それに比べ、男性の本当のトップは他人の意見を聞く姿勢があって、ジェントルマンである場合が多い」と続く。ふむふむ。オリンピックなどで10代、20代のスポーツ選手のインタビューを聞くと女性の方がしっかりしている気もして、男子がんばれっ！ と言いたくなることもあるけどね。

男性は大人になった後に社会的な場での活躍を経ながら大いに変化していくのだろう。女性も同様だけれども、いつの時代も女性にはその身体の機能ゆえ、出産するの？ しないの？ という問題が人生の必須選択にあり、その選択後、必ずしも社会的な場での活動が自身のメインクエストにならない場合だって多い。

子供が生まれれば、彼らが自立できるまでの育児はこれはもう「業」ってくらいずっとつきまとう（でも、孫を持つくらいの女性たちが見知らぬ小さな子に声をかけているのを見て、その力の抜けた優しさが私のようなトウノタッタお母さんを不覚にも泣かせることだってあるのだから、女性は社会進出しなくてもすばらしいジェントルレディになる）。

その道を極めた人は男女構わず「熱いと同時に静かな人」に違いないと思う。そしてそういった女性を見ていて感じるのは女性っぽくあってもどことなく性別を超越している感覚がある人。

新しく日本の首都、東京の知事のトップに女性が決まった。そして、アメリカにも初めての女性大統領が生まれるかもしれないという今日この頃。

全世界的にもっと多くの女性トップ候補がいる世の中になれば、トップリーダー女性の意識も（そして彼女を見ているその他の人々の意識も）変わってくるだろう。まだまだビジネスや政治の場での女性進出はつぼみの段階だ。ゆっくりとした歩みとはいえ、足踏みしている訳ではない。女性のリーダーが珍しくなくなれば、多様性も生まれ、りきみは次第に円熟へ変化するだろう。素敵な女性がたくさん増えますように。

遡ること80年代は肩パッドとボディコンシャスと太まゆの時代。ちょっとした戦闘着だ。それから数々の戦闘アイテムや思想を手にしながら、30年以上経ち、女性はどこまでこれたのだろう。社会に出た女性たちの戦うべき相手は未だに男性なのか、女性なのか。どんな枠の設定があるのだろう。

それぞれがその枠が何なのか常に自分に問い、そこにチャレンジすべく自分の立っている場所や興味に没頭して集中し、その時を生きるしかない。豊かな経験が扉をみつけ、それを開ける勇気をもたらすに違いない。

ふとユーリズミックスの音楽を聴いた流れで読んだアニー・レノックスのHPのディスコグラフィーに添えられた言葉（かなり意訳だが）「そのときどき、没頭して真剣に取り組んだ」は決して「オラオラ」風ではなく、凛としていて、「私もがんばんなきゃ！」と奮い立たされた。「自分の体重が押し返してきたところに立てばいい」とは私のダンスの先生がレッスン中にぽろっとこぼした言葉。アートの世界の女性はもうずっとそれを体現している。

ユーリズミックスのアニー・レノックスのクールビューティは今も昔も変わらず。世界観たっぷりの化粧をしていてもそうでなくても、どんなカツラをかぶっても全てが彼女の自然な姿、と思える存在。力強い素敵なミューズの歌声で、さあ、明日のドアを開けよう！

スウィートといいながら思いっきりビターで目の覚める一曲、「スウィート・ドリームス」とキラキラオーラの「ゼア・マスト・ビー・アン・エンジェル」を。

2016.09.20