7月14日

エアギターじゃ伝わらない!? ジョニー ルイス&チャーのフリーコンサート

31
1
 
 この日何の日? 
ジョニー ルイス&チャーの「FREE SPIRIT」が日比谷野外音楽堂で開催された日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1979年のコラム 
PARCO が攻めていた時代、B-52's は唯一無二のパーティーバンド!

ギタリスト野口五郎「女になって出直せよ」LAフュージョンをお茶の間に披露!

さだまさし「関白宣言」は最上級の愛情表現、夢みる男のわがままソング?

ユーミンから教えてもらったハロウィン「りんごのにおいと風の国」

超レア!細野晴臣×高橋幸宏×今剛×ペッカー×佐藤博のディスコサウンド

憂鬱な月曜日、狂気との格闘、ブームタウン・ラッツ「哀愁のマンデイ」

もっとみる≫




面白い奴はいないかなと楽しみにして入学した高校に、やっぱりひとりぐらいはいるもので、同じクラスにロック好きの同級生がいた。僕の席の斜めふたつ後ろに座っていたモッチだ。

授業中、後ろを振り返り目が合うとモッチがギターを弾くポーズをしながらウインクをしてくる。

そのエアギターを見て「こういう奴と会いたかったんだよ」と自分の村社会が少し広がったような気がしたのは気のせいだろうか。

僕はピストルズ、モッチはチャーが好きだったので、音楽の話題で重なる部分はあまりない。

モッチは僕が持っていたシド・ヴィシャスの写真を見て「なんでこいつは血を流しているんだ?」と聞いてくる。あらためてそう聞かれてもうまく答えられない。

「分からないけど、でもいいだろ?」と返すと「いや、分かんね~よ」とモッチ。まったく噛み合わないのにいつもふたりで音楽の話をしていた。

一学期の終わりの月曜日の朝のこと。

モッチが僕に「FREE SPIRITに行ってきたぜ」とちょっと自慢げに話しかけてきた。「FREE SPIRIT」とは1979年7月14日に日比谷野外音楽堂で開催されたジョニー ルイス&チャーのフリーコンサートのことだ。モッチは興奮冷めやらぬ感じでその日のことを話してくれた。

雨の中、初めて行った日比谷公園、迷いながらたどり着いた日比谷野音、本当に入場料が無料で、うまいこと真ん中の席を確保して一部始終を目に焼きつけてきたと。「SMOKY」では客がステージに押し寄せ一時演奏を中断したと。


「なんか不穏な感じだな。モッチ、もっと話してくれ」

「間奏でずっとムスタングのアームをグニョグニョさせて弾いていて、頭がおかしくなりそうだった!」


と、エアギターを交えながらその演奏の凄さを熱く語るのだが…


「ん? ちょっと待て。頭がおかしくなりそうって、アームでそんなにすげー音出せないだろ~?」


どうにも想像ができず、やっぱりモッチとは趣味が違うなぁと心密かに思っていた。でもその考えが間違っていたことが分かったのが、数ヶ月後に発売されたこの日のライブアルバム『FREE SPIRIT』を聞いた時だった。

B面の1曲目に収録された「Natural Vibration」がその曲だ。初めて聞いた時はレコードを聴いているのに、「げっ!テープ巻き込んだ!」と勘違いしてしまった。

確かにグニョグニョがいつまでも続く。長いギターソロが大嫌いな僕もこのギターソロは何度も聴き返したくなるほどぶっ飛んでいて格好いいと感じた。

こんなものをライブで聴いてしまったら頭がおかしくなっても不思議はないし、エアギターじゃどうやったって伝わらない。

そう思いながらも翌日、学校で「モッチ、俺が悪かった。もう1回ナッチュー(Natural Vibrationのこと)弾いてくれ!」とエアギターをねだるのだった。


※2016年10月4日に掲載された記事をアップデート

2019.06.16
31
  Apple Music


  YouTube / 南風海治郎
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1963年生まれ
やっすぅ
コラムリスト≫
62
1
9
8
1
孤高のギタリスト、マイケル・シェンカーは僕にとってまさに「神」
カタリベ / 藤澤 一雅
46
1
9
8
0
あでやかな松づくし、松原正樹をめぐるからっとした個人的メモリー
カタリベ / スージー鈴木
52
1
9
8
1
片岡義男&南佳孝、今も憧れるスローなライフにスローなブギ
カタリベ / 5時まで男
30
1
9
8
6
ヨーロッパの「ファイナル・カウントダウン」平成最後にやっぱり聴きたい!
カタリベ / 中塚 一晶
57
1
9
8
2
EPICソニー名曲列伝:土屋昌巳のロックンロール性と「すみれ September Love」の先進性
カタリベ / スージー鈴木
63
1
9
7
9
ジョージ・ベンソン スタイル、ギタリスト野口五郎が眩しかった!
カタリベ / 千代田区のUra