ある日、ラジオから聞き覚えのある歌声が…
その独特な歌声に、リーゼントにサングラス、白のスーツ姿のグラハム・ボネットが思い浮かんだ。そして、「これは何だ? いったい誰だ?」と思わせるギターソロ、どうしても曲名を知りたくなった。
今のように簡単にネット検索できる時代ではなかったが、FM情報誌というラジオの番組内容やオンエアリスト、オンエアタイムまで載っている、いわゆるエアチェックに便利な雑誌があった。
急いで調べると、アルカトラズの『アイランド・イン・ザ・サン』という曲だと分かり、早速近くにあった、店の片隅にレコードが置かれてる街の楽器店へ行ってみたが見つからず…
そこで、店員さんに「アルカトラズはありますか?」と聞くと、「それは誰ですか? どこの人ですか? ジャンルは? 何という曲ですか? 英語の綴りは?」等々、逆に聞かれまくったのを覚えている。
とにかく、こちらも分かっていることはアルカトラズと『アイランド・イン・ザ・サン』ただそれだけ。
それでも「ボーカルはたぶんグラハム・ボネットという人で、外国のバンドで、ジャンルはハードロックで、とにかくアイランド・イン・ザ・サンっていう曲が入ってるLP」と言ってはみたが、田舎の店員さんには全く伝わらず、「調べてみるので見つかったら取り寄せておきます、ここにお名前をお願いします」と注文書を書くことに。
そう、このアルバムは僕にとって初めての取り寄せ注文のレコードとなったのです。今なら考えられませんが、そのアルバム『ノー・パロール・フロム・ロックンロール』がお店に入荷したのは数週間後! アルカトラズだけに牢獄に入ったようなジャケットのレコードでした。
そして、針を落とした1曲目がまさに『アイランド・イン・ザ・サン』
そうそうこの曲! と思ったのもつかの間、2曲、3曲と聴き進める頃にはイングヴェイ・マルムスティーンというギタリストの名前がしっかりと頭の中に刻み込まれる展開に。
その後、この『ノー・パロール・フロム・ロックンロール』というアルバムは、ネオクラシカルというメタルのジャンルとイングヴェイ・マルムスティーンというギタリストの名を世界中に広めることとなり、個人的にもより思い出深いものとなったのです。
2016.04.10
YouTube / mark graeff
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