ピンク・レディー伝説
Legend 09「透明人間」作詞:阿久悠
作曲:都倉俊一
編曲:都倉俊一
発売:1978年9月9日
誰もが知って歌えたピンク・レディーの大ヒットソング
デビューから丸2年が経った1978年9月9日、人気絶頂のピンク・レディーが9枚目のシングル「透明人間」をリリースした。前作「モンスター」に続いて週間チャート1位を獲得。年間チャートでも6位を記録する大ヒットとなった。
この後に続くシングル「カメレオン・アーミー」も1位に輝くのだが、1978年末の『第29回NHK紅白歌合戦』を辞退したあたりから、レコードの売上げが少しずつ下降してゆくことになる。1979年に入ってから出された「ジパング」は首位に届かなかった。それでも充分すぎるヒットであったわけだが。そういった意味では、誰もが知って歌えたピンク・レディーの大ヒットソングというのはこの「透明人間」か「カメレオン・アーミー」までなのかもしれない。明らかなピークは「UFO」「サウスポー」だったろう。
それにしても、阿久悠 × 都倉俊一のコンビはよくぞここまで、奇抜ながらも覚えやすく親しみやすいノヴェルティ・タイプの優れた楽曲を次々と生み出したものだとつくづく感心してしまう。放送作家から作詞家へ転じた阿久悠のトレンドを読み込む力と、10歳以上も年下だった作曲の都倉俊一の若きセンスが最高の形で組み合わさった奇跡的な作品群だったのだ。
「ザ・ベストテン」登場時の演出は、正に "ショック!"
「モンスター」までは大人の男性へ向けたお色気要素も盛り込まれていたものの、「透明人間」ではそれが一切見られず、対象年齢が一気に引き下げられたような気がする。ともすれば人間の煩悩を惑わす題材の透明人間をあえて健全な内容にしたのは、それまで以上に低年齢層を意識したためであろうか。
タイムマシンを使える『ドラえもん』の世界に、不自然なくらい犯罪や金儲けの話が出てこないのと同じ思考なのだろう。いや、単純にシングルのB面が、子供たちに絶大な人気のあったドリフターズのテレビ人形劇『飛べ!孫悟空』(TBS系)の主題歌「スーパーモンキー孫悟空」だった印象もあるのかもしれない。いずれにせよ「透明人間」はトリッキーなピンク・レディーの楽曲の中でも、もっとも「およげ! たいやきくん」のラインに近い作品といえるだろう。
まあ、そんな無粋な考察は抜きにしても、「透明人間」は無類に楽しい楽曲である。なんといっても『ザ・ベストテン』(TBS系)での演出が忘れられない。ピンクのシースルーの衣装で歌う2人の姿が透明人間のように消えたり現れたりする映像処理が話題となる。正に "ショック!" だった。スタジオに来られなかった週では、順位が発表されてミラーゲートから登場するところから姿が見えないという設定に。歌い始めたところでようやく2人が姿を現すという体でVTRが流されるという凝った演出が施されたこともある。10週にわたってランクインした『ザ・ベストテン』での最高位は4位に終わった。
「♪あられないのが 透明人間です」という見事なロジック
阿久の著書『歌謡曲の時代 歌もよう人もよう』の記述によれば、「♪透明人間あらわる」というフレーズは、少年の頃に観たという特撮映画『透明人間現わる』(1949年 / 大映)に由来するものだったそう。そこから30年の時を超えて、1978年の少年たちに響いたことになる。最終的に「♪あられないのが 透明人間です」というロジックで落とすところもお見事。
ピンク・レディーの曲の中では改めて語られる機会が少ないかもしれないが、今でも時折無意識に口ずさんでしまうことがたまにある、実にインパクトのある作品なのだ。
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2026.09.01