2017年、音楽のストリーミング配信の売り上げがCDやレコードを上回ったらしい。確かに自分でもこの1~2年はストリーミングで音楽を聴くことが多くなっている。
古いアルバムから新しいアルバムまで簡単に見つけられ、見つけたらすぐにスマホで聴ける。お財布にも優しいし、CD収納の悩みもない。曲によっては歌詞も表示される。便利だ。本当に便利だ。でも何かが足りない。なんだ?
あ、ジャケットがない。
結局、ジャケットが欲しいというそれだけの理由で買わなくても済むCDがまた増えてしまうのだった。
ディーヴォはピストルズの次に僕の心をときめかせたバンドだった。「サティスファクション」の大胆なアレンジにはパンクよりも自由さを感じたし、ノコギリでぶった切ったようなギターを持ち、独特な動きをするディーヴォのPVを観て、まるでロックがおちょくられているようで痛快だった。
そんなディーヴォの風変わりなサウンドと出で立ちが気になって仕方がない。普通なら迷わず1stアルバム『頽廃的美学論(Q:Are We Not Men? A:We Are DEVO!)』を買うところなんだけど、どうしても買いたくない理由がひとつだけあった。
それはアルバムジャケットに大きく描かれた「にやけたおっさん」のイラストが好きになれなかったということ。こんな安っぽい絵に貴重なお小遣いを使うことに抵抗があったのだ。
しばらくアルバム購入に二の足を踏んだ後、僕は国内盤ではなく輸入盤を買うことにした。それは僕が初めて買った輸入盤でもあった。
そう、このアルバムにはジャケットが2種類ある。
国内盤はアメリカでリリースされたオリジナルの音盤(ワーナー盤)と同じく「にやけたおっさん」ジャケット。
UK盤(ヴァージン盤)は「ジョコー・ホモ」のPVの画像を使ったもの。こっちのジャケットの方が断然格好いい。しかも輸入盤は安い。
でも埼玉在住の僕には近所に輸入盤を扱っているレコード店がないという問題があった。輸入盤を買うには新宿や御茶ノ水あたりに行く必要があり、往復で1000円程度の電車賃がかかる。電車賃を入れると結局、国内盤と同じ値段になってしまう。
中身は同じなんだから「にやけたおっさん」で我慢すればいいのに、結局、僕はUK盤を選んだのだった。
電車賃を使ってわざわざUK盤を買いに行ってしまうのも、ストリーミングで聴けるのにやっぱりCDを買ってしまうのも悲しい性ってやつなのかな… そんなことを考えながらニヤニヤしていたら、いつの間にか自分があの「にやけたおっさん」になってるような気がしてきたぞ!
2018.06.01
YouTube / Dr. Shrimp Puerto Rico
YouTube / grapesarefun9000
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