9月1日

筒美京平が生んだ “強気な野口五郎” 3部作、はじまりは「グッド・ラック」

48
0
 
 この日何の日? 
野口五郎のシングル「グッド・ラック」がリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます

 
 1978年のコラム 
平成女子から見た昭和:茅ヶ崎サザンビーチの貸別荘で聴く「熱い胸さわぎ」

ジャケットだけが好きになれない!ディーヴォ「頽廃的美学論」の買い方

ジノ・ヴァネリの濃厚な魅力、AORだけには収まらない圧倒的歌唱力!

シチュエーション・コメディ「タクシー」やっぱり眩しかったアメリカのドラマ!

羽生結弦もむせび泣き、ゲイリー・ムーアは泣きのギターを顔で弾く!

ぎんざNOW!が教えてくれた「ショットガン」と「めんたいこ」の味

もっとみる≫




山川啓介×筒美京平の名曲「グッド・ラック」が与えたインパクト


1970年代後半、男性アイドルの代表といえば、なんといっても “新御三家” だ。中性的かつ華やかで、王子様然とした郷ひろみ。ワイルドなルックスに、シャウトやスタンドマイクを使った派手なパフォーマンスが印象的な西城秀樹。この2人に比べてやや地味で、3番手感が否めなかったのが野口五郎だ。

歌唱力はピカイチだし、甘いマスクではあるのだが、神田あたりの学生街を歩いていそうな繊細な文学青年といった趣。「私鉄沿線」や「甘い生活」など、しっとり歌い上げるバラード調の曲は、子どもだった私にはピンとこなかった。

だが、「あれ? 今までの五郎となんだか違う!?」と大きなインパクトを受けたのが、山川啓介作詞、筒美京平作曲の名曲「グッド・ラック」だ。和製AORやシティポップといわれる、都会的で爽やかなメロディーに乗せたのは、眠っている彼女をベッドに残し、旅立つ男心。

ここには、改札口で彼女を待ち、使わなくなったペアのモーニングカップでうじうじ悩んでいた男はいない。「♪ 男は心に オーデコロンをつけちゃいけない」とうそぶく、身勝手で強気な男がいる。だが、五郎の甘い声とさりげないビブラート、爽やかなメロディーが、そのエゴイストぶりをやわらげる。

「女になって出直せよ」「真夏の夜の夢」でも押し出される “強気な五郎”


「グッド・ラック」の後にリリースした「女になって出直せよ」「真夏の夜の夢」も “強気な五郎” を押し出した曲だ。

「女になって出直せよ」でも、五郎は彼女に一方的に別れを告げる。彼女にしたら、いつの日かの再会を匂わせながら「女になって出直せよ」なんて別れ際に言われたら、相当カチンとくるだろう。

だが、AOR風な曲調があまりにも心地よくて、そんな身勝手ぶりはどうでもよくなる。毎回サビの「♪ バイバイ ベイビー バイバーイ 女になって出直せよ~」は、一緒に口ずさまずにはいられない。

そして、「真夏の夜の夢」に出てくるのは、「♪ あなたはバラ ぼくは蝶」と、すべてを忘れて愛欲に溺れる男。ギターをかき鳴らす姿、色っぽい女性コーラス隊とのかけ合いも印象的だった。五郎は、ロック調の曲でもシャウトすることなく、甘くビブラートをきかせる。

感じたのは “ギャップ萌え”? 野口五郎の意外な魅力を引き出した3部作


他にも筒美京平が作曲した五郎ソングは数多くあるが、五郎の意外な魅力を引き出した名曲という点では、これら3曲がずば抜けていた。当時は、ギャップが異性の魅力になるなんて知る由もなかったが、このときの私が感じていたのは、まさに “ギャップ萌え”。あの甘い声があるから、身勝手で強気な男の歌がマイルドになり、ずるくも魅力的な男性像が浮かび上がる。

2020年に野口五郎は、デビュー50周年を迎えたそうだ。盟友・秀樹に続いて、恩師である筒美京平を失い、悲しみは癒えていないかもしれないが、2人のためにも長く歌い続けてほしい。あの、ずるくも甘い声とビブラートを、まだまだ私たちは聴きたいのだ。



2020.11.14
48
  Apple Music


  Apple Music


  Apple Music
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1967年生まれ
平マリアンヌ
コラムリスト≫
38
1
9
8
4
郷ひろみ・西城秀樹・野口五郎「新御三家」がくぐり抜けたそれぞれの80年代
カタリベ / goo_chan
44
1
9
7
9
ギタリスト野口五郎「女になって出直せよ」LAフュージョンをお茶の間に披露!
カタリベ / 彩
43
1
9
7
9
野口五郎「真夏の夜の夢」の衝撃 ♪ ゴロンボ刑事よフォーエバー!
カタリベ / 親王塚 リカ
33
1
9
7
8
優しさの中を貫く強い信念、山川啓介の “詞” に人生を教わった
カタリベ / 鈴木 啓之
50
1
9
8
5
筒美京平と歌謡曲黄金時代、1971年と1985年は “奇跡の年”
カタリベ / 指南役
23
1
9
8
0
ニューミュージックと歌謡曲の融合、西城秀樹とオフコースの接点は?
カタリベ / 鈴木 啓之
Re:minder - リマインダー