さて、9月です。 9月といえば個人的に誕生月でもあるので好きな月なんですが、暦上の秋とはいえなかなかすぐには涼しくなってくれないものです。雰囲気だけでも秋風を吹かせたいので今回は9月の歌を紹介。 曲名はその名も「セプテンバー・ソング」。作者は戯曲『三文オペラ』のクルト・ワイル。これまでに数々の有名歌手が歌ってきたスタンダードです。 ざっと並べてみてもビング・クロスビー、フランク・シナトラ、ウィリー・ネルソン、サラ・ヴォーン、ルー・リード、ブライアン・フェリーなど錚々たる顔ぶれ。それもジャズ、ロック、カントリーなど幅広いジャンルのアーティストに歌われる名曲です。 なかでもトム・ウェイツやスティング、トッド・ラングレンなどが参加したクルト・ワイルへのトリビュートアルバム『星空に迷い込んだ男~クルト・ワイルの世界(Lost in the Star The Music of Kurt Weill)』に収録されたルー・リードによるカヴァーなどは出色の出来。大好きなヴァージョンです。 さらに私が大好きなのが、この曲に出会うきっかけとなったエコー&ザ・バニーメンのヴォーカリスト、イアン・マッカロクのソロシングル。キレッキレのニューウェイヴサウンドで人気を博していたエコー&ザ・バニーメンがちょっと小休止した時にイアンがこっそりシングルでリリースしていたものです。 バンドの音とは正反対、ストリングスが入ったジャジーな小曲に当時は面食らったものですが、聴き込むとこれがなかなか良い。本人は実にジャズヴォーカリスト然とした佇まいで熱唱しているものの、お世辞にもジャジーで上手いとは言えないこのミスマッチ感が妙に耳に引っ掛かり病みつきに。 B面のアイルランド民謡「モリ-・マローン」も童心にかえったみたいで可愛い感じ。この曲の別名は「コックルズ・アンド・マッスルズ」―― 映画『時計じかけのオレンジ』で主人公の不良グループに暴行される老人が歌っていた曲です。アイルランドのスポーツチームの応援歌としても知られています。 こうして私はアナザーサイドのイアンの魅力にはまりました。以降、バンドでもソロ作でもこの雰囲気を醸すことはなかったのが残念ですが… この名スタンダード「セプテンバー・ソング」の歌詞の内容は、1月から12月を人の一生に例えて、「9月になったらもうあと少し。残りの人生を君と一緒に過ごしたい」という、ちょっと寂しいけど素敵なものです。 自分も今の年齢になって、よりこの曲が沁みるようになりました。※2016年9月11日に掲載された記事をアップデート
2018.09.01
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