10月7日

警視-K、勝新太郎はシュガーベイブの夢を見る

19
5
 
 この日何の日? 
日本テレビ系ドラマ「警視-K」の放送がスタートした日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1980年のコラム 
プレイバック 1980 ― 山口百恵のファイナルコンサートが伝説になった理由

貸レコード屋「黎紅堂」で出逢った心の愛人、門あさ美

女子大生ブームの扉を開けた宮崎美子、いまのキミはピカピカに光って!

トーキング・ヘッズ「リメイン・イン・ライト」にみる “ポップとヒネリ” のバランス

2023年を感じながら聴く【80年代ロック名盤ベスト10】懐かしむより超えていけ!

まさかの出入禁止!ユーミンに怒られた「ワンダフルcha-cha」制作顛末

もっとみる≫



photo:〔視・読・聴〕  

勝新太郎は、その強面な風貌や逮捕歴、黒澤明との決裂etc.から豪快伝説ばかりが強調されるきらいがあるが、私は彼について一番に語りつぐべきなのは「ディレクターとしての才能」だと思っている。なぜか?彼が演出したドラマ『警視-K』をうっかり視ちまったからである。リアルタイムでね。

なんせ変なドラマだった。まず画が、ドラマではなく記録映画フィルムのような撮り方をしている。音声もボソボソ喋っていて、当時の NHKのドキュメントみたいな感じ。ときには何を言ってるか聞き取れない。それまでの刑事ドラマのように、分かりやすい芝居ではない。中学生には理解不能な部分だらけだったが、毎週火曜の9時になるとチャンネルを4にひねっていた。後年、このカルト作品の解説を読んだら、やはりそうだった。勝新はドラマにドキュメントの要素を持ち込もうとしていたのだ。

驚くべきはクレジットされている音楽担当である。山下達郎なのだ。それもテーマ曲だけではなく、劇伴の全般を彼が任されている。もちろん、劇中でかかるのは達郎の作品だけではないが、達郎と近いラインから、たとえば第4話でジュディ・オング扮する二重人格の美女がディスコで踊りまくるシーンでは、土方隆行『Smash The Glass』なんかが選曲されている。音効さんのセンス良すぎ!

で、その番組エンディングで必ずかかるのが『My Sugar Babe』であり、曲とオーバーラップするのが勝新の愛娘である奥村真粧美と中村玉緒であった。だから私はいまだにこの曲を聴くと、間違いとは分かってはいても、中村玉緒母娘が脳裏に浮かんできてしまって大いに困惑する。もちろん、当の山下達郎氏は熱愛中の竹内まりや嬢を想って作っているのだろうけれど。

同じように「映像であぁ勘違い」みたいな話は、昔からよくある。古くは1977年『愛のメモリー』は三浦友和が出演のグリコアーモンドチョコのCMソングだったため、松崎しげるが歌っているのを見て「違う!」といわれた話とか、最近でも『あったかいんだからぁ♪』が斎藤工が出演のCMで流れていたため、クマムシが歌っているのをみて斎藤工を真似していると思われたとか。映像がいちど植えつけた先入観というものは、なかなか引っ剥がすことができないものだよなぁ。

2016.01.24
19


あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。


おすすめのボイス≫
koizumi goku
勝氏の倅さんが亡くなった。当時、勝事務所は六本木のピットインの道路の向かい側のにあった。勝事務所の前に銀のSクラス。倒産した日は報道陣でごったがえしていた。仕事しているとこの曲のキーボード難波氏がマネージャーと交差点を歩いているのを見たことがある。
2019/12/04 09:33
0
返信
1971年生まれ
森田 さおり
そうなのですね。この時期、山下達郎さんのブレイク直前ですよね。なんか眼力というかすごいですね。
2016/02/09 19:32
1
返信
1965年生まれ
@0onos
勝新は、長唄や三味線の名手で、コンテンポラリーな音楽にも造詣が深かったとのこと。ドラマ音楽を山下達郎に勝新自ら依頼したというし、番組の記者発表にむりやり連行したという笑い話も。このドラマときどきBS日本映画専門chで再放送してるけど、劇中BGMの選曲センスの良さに驚かされます。
2016/01/30 18:58
11
返信
1971年生まれ
森田 さおり
こんなドラマあったんですね、知りませんでした。
YouTubeでちらっと見ましたけど、山下達郎さんと勝新太郎さんの組み合わせが異色すぎます。当時は洒落た感じだったのでしょうか。
2016/01/27 13:24
1
返信
カタリベ
1965年生まれ
@0onos
コラムリスト≫
74
1
9
8
9
山下達郎の声はハチミツの噴水、ポップとは決してロックの軟弱化ではない
カタリベ / 山口 順平
111
1
9
9
1
ホイチョイ映画「波の数だけ抱きしめて」1982年の夏は大滝詠一と山下達郎
カタリベ / 中川 肇
41
1
9
8
2
山下達郎が楽曲提供した「ハイティーン・ブギ」と武田久美子の不思議な大物感
カタリベ / 鈴木 啓之
50
1
9
8
3
高気圧ガール♪ タツローサウンドと眞木準さんの思い出(前篇)
カタリベ / @0onos
59
2
0
1
7
嵐の氣志團万博、山下達郎が歌う「ハイティーン・ブギ」これで決まりさ!
カタリベ / 平マリアンヌ
34
2
0
2
1
村井邦彦とアルファミュージック、見出した才能を信じ抜くプロデューサーとしての覚悟
カタリベ / 前田 祥丈