1980年代前半、フォリナー、ジャーニー、スティックス、REOスピードワゴンといった米国のロックバンドが猛威を振るっていたのを覚えているだろうか。音楽評論家の渋谷陽一氏に「産業ロック」と名付けられたこれらのバンドは、同時に僕たち音楽ファンの「敵」でもあった。なぜかと言うと、あまりにも中庸だったからだ。具体的にはこういうことだ。
1. 音楽が中庸
情緒的で単調なメロディ、いちいち大袈裟なアレンジ、やたら分厚いサウンド、歌い上げるボーカルが特徴で、ロックが本質的に持っているはずの革新性・反体制性が全くない。
2. 見た目が中庸
どのメンバーもルックスがいいわけでもなく、長髪に前時代的なファッション(薄汚れたジーンズとTシャツ)で、何一つ新しい価値観・美意識を提示していない。
ところが、である。
2013年にジャーニー復活の軌跡を描いたドキュメンタリー映画『Don't Stop Believin':Everyman's Journey』が公開され、たまたま観る機会があったのだが、不覚にもうるっと来てしまった。あんなに毛嫌いしていたバンドなのに。もちろん、2007年に加入したフィリピン人ボーカリストのアーネル・ピネダがアメリカンドリームを叶える姿に、同じアジア人として感動を覚えたことも大きいが、単純に音楽が懐かしかったというのもある。なにしろ30年前には(自分の意思に反して、ではあったが)四六時中そこかしこで聴かされていたのだ。
なお、ジャーニーは全盛期を支えたリードボーカルのスティーヴ・ペリーが脱退してから長らく低迷していたが、2010年に人気テレビドラマシリーズ「glee/グリー」で取り上げられたことも手伝って、2度目の全盛期を迎えるに至った。
Don't Stop Believin'
作詞・作曲:Jonathan Cain / Steve Perry / Neal Schon
プロデュース:Kevin Elson / Mike"Clay"Stone
発売:1981年(昭和56年)10月6日
2016.02.18
YouTube / journeyVEVO
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