1月7日

昭和にあって令和にないもの? それは “たったひとり” で時代を変えられる 〇〇 の存在!

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NHK紅白歌合戦にみる“昭和”


かつて、紅白は20代の歌手たちの祭典だった――。

―― 昭和の話である。えっ? と思うかもしれない。昭和の『NHK紅白歌合戦』と言えば、サブちゃん(北島三郎)やお千代さん(島倉千代子)といったベテランの演歌歌手勢や、紅白でしかお見掛けしない菅原洋一サンとか青江三奈サンとか(失礼!)、言っちゃなんだけど、おじさん、おばさんの歌い手ばかりの印象をお持ちの方も多いだろう。ぶっちゃけ、50代の僕もずっとそう思っていた。

でも、データを見ると、紅白の出場歌手の平均年齢は、視聴率が常に80%近くあった昭和36年から54年まで、実に19年間に渡って、ずーっと20代だったんですね。この間、歌謡曲の女王・美空ひばりはトリを10年連続(昭和38年〜47年)で務めているけど、当時の彼女の年齢は26歳から35歳。そう、女王は意外に若かった。

ちなみに、女王を基準として、昭和の紅白の常連組の年齢を比較すると、突出して高いのは三波春夫サン(14歳上)と村田英雄サン(8歳上)くらいで、サブちゃんは女王より1つ年上、お千代さんは同学年、チータ(水前寺清子)と佐良直美サンは8歳下、森進一サンは10歳下、五木ひろしサンと都はるみサンは11歳下と、意外とみんな若かった。彼らは当時20代。今でいうSixTONES(平均年齢26.8歳)やあいみょん(27歳)みたいな存在だったのだ。



一方、―― 発表当初、若者偏重と批判された2022年の紅白の出場歌手の平均年齢は、37.6歳。これ、後出しじゃんけんで加山雄三サンやユーミンらが発表される前の数字で、この時点で既に昭和の紅白より、出場歌手の年齢層が遥かに高かったんですね。昭和の紅白にあって、令和の紅白にないもの―― ずばり「若さ」である。

そう、これが今回のコラムのテーマ。ずばり、昭和のエンタメ界にあって、令和にないもの――“若さ”。何ゆえ、令和のエンタメは昭和より高齢化したのか。その要因や、時代背景を紐解いていきたいと思う。奇しくも今日、1月7日は、今から34年前の1989年に、昭和天皇が崩御されて、昭和が終わった日に当たる。

第73回の紅白を振り返ると…


まず、本題に入る前に、昨年の紅白を僕なりの視点で振り返ってみたい。改修されたNHKホールで3年ぶりの有観客開催、それも100%の客入れ(一昨年の東京国際フォーラムは50%の客入れだった)ということもあり、思いのほか “ライブ重視” へ演出が向いて、それがシンプルによかったと思う。第2部の視聴率が一昨年より1.0ポイント増の35.3%と、下落に歯止めがかかったのがその証左。それでもメディアは歴代ワースト2と煽るけど、SNSを含めた読後感を見るに、数字以上に好評価だったのではないか。

まぁ、長いコロナ禍で、“100%の有観客ライブ” に演者も観客も飢えていたので、今更ながらライブ重視へ原点回帰できたのは、怪我の功名だった。今回は平成以降の紅白で定番だった “外中継”―― 2018年の米津玄師の大塚国際美術館(徳島・鳴門市)や、21年の宮本浩次の東京湾、水森かおりの清水寺(京都市)等々―― も一切なく、星野源やOfficial髭男dismなど一部のスタジオ出演組を除けば、実に出場歌手の9割がNHKホールで熱唱し、会場は盛り上がった。その熱気がストレートにお茶の間に伝わったのが、視聴者の読後感がよかった最大の要因だろう。

そもそも、昭和の時代に紅白が盛り上がったのも、豪華スターが1つのステージに集い、くだらない応援合戦をしつつも、そんなワチャワチャが楽しかったから。例えて言えば、『笑っていいとも』最終回スペシャルで、タモリさんを中心に明石家さんま、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ナインティナインら、超豪華メンバーが1つのステージに集結したようなもの。そこで何が起きるかはさして重要ではなく、集うことに意味があった。



高齢化した令和のエンタメ。その背景にあるものとは…


閑話休題。
おっと、紅白の話題になると、つい語りすぎてしまう(笑)。今回のコラムの本題、―― なぜ、令和のエンタメは高齢化したか。これ、実は令和に限らず、平成の時代から続く現象で、昭和の時代に比べて、圧倒的に “新陳代謝” が鈍化したんですね。その結果、アイドルもミュージシャンも、もっと言えばお笑い芸人も、みんな第一線で活動する期間(つまり売れてる期間)が “長寿化” したんです。

実際、昭和のアイドルは皆、第一線でいられた期間が短かった。70年代後半に一世を風靡したピンク・レディーは、デビューからわずか4年半で解散(一度目)したし、80年代半ばにオリコンを席捲したおニャン子クラブも、その活動期間はたった2年半だった。山口百恵は紅白のトリを務めながら、デビューから7年半で結婚・引退。松田聖子もデビューから5年目に結婚して、アイドルの第一線から退いた。中森明菜もトップアイドルとして疾走できたのは、1982年のデビューからわずか7年間だった。

それが、令和のアイドルになると―― グループアイドルに移行したとは言え、皆一様に長寿化する。モーニング娘。は1997年の結成から、今年で実に26年目を迎える。AKB48も、2005年の初公演から18年目、Perfumeも同年にメジャーデビューし、今も第一線で活躍中だ。ももいろクローバーZは08年の結成から15年目、乃木坂46も11年のデビューから12年目、比較的新鮮なイメージの日向坂46ですら8年目である。その活動期間は、既に山口百恵や、アイドル時代の中森明菜を超えている。



男性アイドルもしかり――。昭和の時代のジャニーズ・グループは、トシちゃん(田原俊彦)とマッチ(近藤真彦)を頂点に、10年活躍できれば長寿の部類だった。それが平成以降、SMAPは28年、嵐は21年にも渡って第一線をキープ。更にはKinKi Kidsを始めとする現在活動中のグループも、10年20年選手はザラである。あまりに上がつかえた結果、今や30代もいるジャニーズJr.の高齢化が問題視されている。

平成で成熟した音楽業界。効率化を図ったアイドルビジネス


一体―― 何ゆえ、令和のアイドルは長寿化したのか。

昭和の時代、音楽業界は発展途上の過渡期だった。まだノウハウも少なく、ある意味 “丁半ばくち” の世界だった。果敢に挑戦して、成功も失敗もした。ただ、失敗しても許される、おおらかな時代でもあった。昭和にB級アイドルが多いのは、そういう理由である。また、一つの会社にずっといる人間は少なく、あちこちを渡り歩く “渡世人” 風の人も多かった。そんな時代、一人のアイドルを3年も持たせれば、大成功だった。

それが平成以降、音楽業界は成熟し、働く人間はサラリーマン化した。彼らを支えるブレーンや協力企業も格段に増えた。人々は夢を語るよりも生活を優先し、失敗を恐れて過度な冒険をしなくなった。アイドルビジネスはファン・マーケティング化して、会社は丁半ばくちよりも7割売れる方策を採用した。

そうした過程でグループアイドルが生まれる。10人メンバーがいれば、ファンは誰か一人を好きになってくれたらいい。センターはグループのアイコンとして顔を売り、歌、ダンス、トークとメンバーのスキルを分散して、リスクを回避する。シングルは売れ線のダンスナンバーを採用し、歌詞には最新の若者言葉(あるいは、若者から最も遠い言葉)を入れて評論家ウケを狙う一方、ファンには平易な言葉のカップリング曲で共感を誘う。衣装やメイクで女性ファンを4割以上に引き上げ、モデル・ビジネス界へもアプローチ――。

気がつけば、グループアイドルはコンスタントに売上を重ねる一方、針を振り切れず、ビッグヒット(国民的ヒット曲)が生まれにくいジレンマに。そのルーティンを時々壊したのが秋元康サンで、ファンがセンターを決めるAKB48の「選抜総選挙」がそう。結果、絶対的センター前田敦子を破って大島優子が選ばれ、ダークホースだった指原莉乃が頂点に立った。運営サイドは「ファンが選んだから」と、シングルで冒険した。AKB48の代表曲、「ヘビーローテーション」や「恋するフォーチュンクッキー」がセンター前田敦子じゃないのは、そういう理由である。



実在した“シンデレラの階段”


さて―― そうして長寿化したアイドル・グループは、やがて次なる壁にぶつかる。それが、アイドルの高齢化と、新陳代謝の鈍化である。音楽業界の椅子の数には限りがあり、常連たちが居座り続けると、なかなか新人が出てこれない。紅白の出場枠は、まさに、それを可視化したものである。

現状、それを打開する方法は2つしかない。ひとつはモーニング娘。や、AKB&坂道グループのように、グループ内で卒業と新メンバー加入を繰り返して、新陳代謝する方法。ただ、思いのほか世代交代が難しく、先行者利益(初期のメンバーばかりに人気が集中する現象)が存在するのも事実。新人が育ちにくい面では、どのグループも同じ悩みを抱える。

もうひとつは、かつての昭和のテレビ番組『スター誕生!』(日本テレビ系)に代表される、定期的に開催される新人コンテストの復活である。思えば、お笑い界には、『M-1グランプリ』(主催:朝日放送、吉本興業)や『キングオブコント』(TBS系)、『R-1グランプリ』(フジテレビ系)等々、毎年開催される若手お笑い芸人のコンテストがある。現状、お笑い芸人は上がつかえていると言われながらも、毎年、コンスタントに新顔が輩出されて、緩やかに世代交代が進んでいるのは、これらコンテストのおかげである。

はっきり言おう。令和の音楽界に足りないもの。それは、令和版『スタ誕』である。プロデューサーが選ぶグループのメンバー・オーディションではなく、コンスタントに開催され、複数の審査員が可能性を見出し、何者にもなれる”たったひとり”のシンデレラを見つけるコンテストだ。

そう、令和の音楽界に足りないもの――それは、たったひとりで時代を変えられるソロ・アイドル。かつて、山口百恵と中森明菜は『スタ誕』から巣立ち、松田聖子は『ミス・セブンティーン』(主催:CBSソニー、集英社)から羽ばたいた。

昭和の時代、シンデレラの階段はリアルに存在したのである。


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2023.01.07
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カタリベ
1967年生まれ
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