美空ひばりという「女王」と呼ばれる人がいる。
彼女は最初から「女王」になろうと思って歌ってきただろうか。彼女の生き方には、生きるヒントが詰まっているように思うのです。
ひばりさんは、4歳の頃からとても歌がうまく、お母さんが小屋をつくりました。最初は日曜だけでしたが、だんだんお客が増えていき、土曜日も、そして平日も開催するようになりました。当時、演奏は生演奏しかありませんでしたから、二十人くらいの楽団を抱え、それがどんどん大きくなっていった。
自分のわがままで何がしたい、こうしたいと言うことがなかった。ただ、目の前に与えられたこと、つまり “歌うこと” を、つべこべ言わずに淡々と行ってきた結果、気が付けば周囲から「女王」と呼ばれるようになっていた。
文句ひとつ言わずにどんな要求にも笑顔で対応し、目の前のことに力を注ぐ。その姿は “釈迦” とイメージが重なるのです。
私たちは、社会から「頑張ること」を強く教わってきています。逆に、頑張らなければ手に入らないよ!と教育されるのです。
でも、頼まれたことを「はい!」って笑顔でこなしていることが、今につながっていたり、うまくいっていることってありませんか? たぶん、生き方のコツって学校で習ったこととは正反対の方法なのかもしれません。
ひばりさんは曲の発売後のインタビューで、自分の人生を重ねて「一滴の雨が木の根をつたい、せせらぎが小川になる。水の流れがあっちにぶつかり、こっちに突き当たりしながらだんだん大きくなる。やがて大河になり、ゆっくりと海にたどり着く。」と言っています。
流れに身を任せる。与えられたことを一生懸命やる。ただ、それだけ。
「頑張る」という言葉は、「我」を「張る」が語源なんです。「我(自我)」を「張った」結果、不思議と転覆するようなことが多いように思います。理由はわかりません。でも、多くの宗教は同じことを説いています。どうやら、これも楽しく生きるための法則のひとつのようです。
要約すると「頑張らなくて」いいんです。目の前のこと、頼まれたことに一生懸命取り組んでいると、それが「道」になる。
主婦の人は家族を笑顔にすることかもしれないし、必ずしもお金を稼ぐことと結びつくことではないように思います。気が付けばやっている、やる羽目になっている、そんなことありませんか? それがやがて大きな「道」になる。
最後に、人生の意図を結果として暗示する、面白い方法とひとつお伝えします。
アナグラムってご存知でしょうか?
名前をすべて平仮名で書き、文字を組み替えると意味する言葉が浮かびあがってきます。
私の場合、「たかの ともこ」、組み替えると「とのも こかた」、漢字で書くと「主殿 子方」という言葉が出てきました(現れるときは古文で出てくることが多いようです)。
意味は、“主殿で役を演じる” という意味で、4歳から今も舞台に立てている意味が分かったように思います。
そうそう、このアナグラム。人生が熟してから、30代? もしかしたら40代以降でないと意味が現れないようです。面白いですね。
Thank you!
「川の流れのように」
1989年1月11日にシングルカットされたこの曲は、同日に発売されたアルバム『川の流れのように~不死鳥パートⅡ』にも収録されている。このアルバムは、「若い世代の人たちにメッセージを残したい」という、ひばりさんの意向により制作されたため、同時に若者から人気を得ていた秋元康が起用されています。もともと別の方が歌う予定だったのですが、歌詞をみたひばりさんが「この曲を私にちょうだい」と言い、歌うことになったそうです。
2017.10.28
YouTube / mikuni1199
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