9月5日
岡田有希子をめぐる3つの四月物語(後篇)
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photo:PONY CANYON  

1984年、時代はもはや王道アイドルを求めていなかった。そこへ4月、岡田有希子がデビューする。フリフリのドレスで歌う彼女の姿は、傍目にも時代遅れに見えた。だが、それは確信犯だった。

図らずも、僕がそれに気づいたのは、同年9月5日にリリースされた彼女の1stアルバム『シンデレラ』を聴いてからである。全10曲中4曲を竹内まりやが手掛け、残る作家陣はEPO、三浦徳子、康珍化、etcと多岐に渡るが、見事に世界観が統一されていた。

プロデューサーはポニーキャニオンの故・渡辺有三サン(元・加山雄三&ザ・ランチャーズのベーシストで、数々のアイドルをプロデュースした音楽界の超有名人ですネ)だったが、実質、竹内まりやプロデュースとも取れる作品だった。

竹内まりやの原点は、60年代の欧米ポップスである。あるインタビューで彼女は自身の音楽観に影響を与えた楽曲として、ニール・セダカの「カレンダー・ガール」や「すてきな16才」、コニー・フランシスが歌った「ボーイ・ハント」や「渚のデイト」などを挙げている。日本では当時、弘田三枝子や伊東ゆかりらがカヴァーした楽曲だ。若い人たちは知らないかもしれないが、日本の60年代の歌謡界は欧米ポップスであふれていた。演歌の時代はその後である。

そう、岡田有希子のデビュー曲「ファースト・デイト」の原点は、60年代の欧米ポップスにあった。タイトルも竹内サンが好きな「渚のデイト」をリスペクトしたものだろう。そして、その延長線上にある1stアルバム『シンデレラ』も、その根底にあるのは60年代の欧米ポップスだった。かつてコニー・フランシスがキュートにアイドルソングを歌った姿に、竹内まりやは岡田有希子を重ねようとしたのだ。それはまさに確信犯的な古さで、一周回って新しさすらあった。

そう、温故知新。アルバム『シンデレラ』の1曲目に収められた竹内まりや作詞作曲の「さよなら・夏休み」の瑞々しいほどのメロディラインと詞の世界観は、今聴いても色あせない。個人的には、同アルバムは昭和の名盤100枚に入れても差し支えないと思う。

1986年4月8日、岡田有希子は天国へ旅立った。享年18。それは、1人のアイドルの死に止まらず、いわゆる王道アイドルの死をも意味したのかもしれない。事実、彼女の死後、時代は普通の女子高生たちが放課後感覚で芸能活動するおニャン子クラブが台頭する。この年、彼女たちはオリコンチャートで51週中、実に35週も1位を取るのだ。菊池桃子で脱アイドル路線を仕掛けた秋元康サンによる1つの完成型だった。

だが、ブームは長く続かない。翌87年になるとおニャン子の人気は失速、8月に解散する。そして日本の芸能界は、やがて長く暗い “アイドル冬の時代” へと突入するのである。

時代は一気に飛んで1997年4月15日、1人のアイドルがデビューした。広末涼子。曲は「MajiでKoiする5秒前」。作詞作曲は竹内まりやである。アイドルのデビュー曲を手掛けるのは実に13年ぶり、岡田有希子以来だった。同曲は50万枚を超える大ヒットとなり、広末涼子を一躍トップアイドルに押し上げた。

一聴して分かるが、アメリカの60年代のモータウン・ビートをオマージュした作品である。シュープリームスなどのガールズ・グループが全盛だった時代――そう、これも温故知新だった。広末涼子のブレイクは長らく不在だった女性アイドルの復活劇となった。

1つ、興味深い話がある。「MajiでKoiする5秒前」と、岡田有希子の「ファースト・デイト」の共通点である。どちらも60年代の洋楽をオマージュした作品であり、好きな異性との初めてのデートを歌ったものだ。歌詞もよく似ている。


 ずっと前から チャンスを待ち続けてきたの
 (ファースト・デイト)

 ずっと前から彼のこと 好きだった誰よりも
 (MajiでKoiする5秒前)


そう、それはかつて竹内まりやが岡田有希子で挑もうとした “王道アイドル復活” へのリベンジだった。そして、見事にそれは成功したのである。

岡田有希子がデビューした日、天国に旅立った日、そして竹内まりやが広末涼子でリベンジした日――いずれも「4月」の話である。

2017.04.08
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MajiでKoiする5秒前 PV 投稿者 glolia
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カタリベ
1967年生まれ
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