9月1日

渾身の一作!松任谷由実のビデオクリップ集「コンパートメント」の魅力

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松任谷由実のビデオクリップ集「コンパートメント」がリリースされた日
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ユーミンのビデオクリップ集、制作費1億5千万円!?


ユーミンがビデオクリップを発売すると知ったのは、高校の近所にあったレコード店の告知だった。日本でビデオクリップが定着し始めた1984年、テレビで流れるプロモーションビデオではなく、売り物としてビデオクリップを出すという。「さすがニューミュージック界の女王・ユーミンだな」と思った。

当時ビデオソフトは結構いい値段がした。告知にはVHSもBetaも12,000円と書かれていた。当時のビデオデッキの普及率は20%にも満たなかったようだし、採算度外視だったのかもしれない。制作費も1億5千万円だったとか。そりゃぁ世界的に有名なクリエーター集団、グリーン・バック・フィルムズが制作に関わっていて、ヨーロッパで長期に撮影したとなるとそりゃぁ金もかかるわなぁ。

当時高校3年生だった私に12,000円はなかなかに厳しい出費だった。推しアイドルである河合奈保子もその頃はレコードのリリースラッシュで、お金が出ていく一方だったのである。それだけあればアルバム4枚分だ。しかし「これは絶対スゴい作品に違いないぞ!」と思い購入することを決めた。家にビデオデッキもないのに… である。まぁ、実際には、購入から2週間後、ビデオデッキを持っている姉の家に行き、無事に見ることができました(笑)。

全曲がストーリー仕立て、「コンパートメント TRAIN OF THOUGHT」


『コンパートメント TRAIN OF THOUGHT』というタイトルがついたその作品のキャッチコピーはこうだ。

「すべてのドアがミステリアス。ユーミンだから、閉じることのできない 映像がここに。」

全8曲それぞれがストーリー仕立てになっているのだが、独立しているわけではなく、曲間をうまく繋げていて、ユーミンが長い夢を見ている… そんな作りになっている。収録曲は以下のとおり。

■ 街角のペシミスト(アルバム:昨晩お会いしましょう)
■ 経る時(アルバム:REINCARNATION)
■ ハートブレイク(アルバム:VOYAGER)
■ 時のないホテル(アルバム:時のないホテル)
■ DANG DANG(アルバム:PEARL PIEACE)
■ ツバメのように(アルバム:OLIVE)
■ DESTINY(アルバム:悲しいほどお天気)
■ 不思議な体験(アルバム:VOYAGER)

ユーミンは作品の中で、“ビノ” という名前の女性として登場する。友人(と思われる相手)に電話するシーンから始まるのだが、そのセリフの読み方が棒読みっぽくて(笑)ちょっとかわいらしかったりもする。

ユーミン大活躍!レオタード姿でエアロビとバレエが合体?


その後、列車に乗り込みコンパートメント(個室)で睡眠薬らしき薬を1つずつ並べていく自殺をほのめかすようなシーンから回想シーンのような展開になるのだが、「街角のペシミスト」でバンドを従えて歌ったかと思えば、「ハートブレイク」ではダンサーを従えてミュージカル仕立てで踊ってみたり、「時のないホテル」で超奇天烈なコスチュームで歌ってみたり、「DESTINY」でレオタード姿でエアロビとバレエが合体したような振付で踊ってみたり… とユーミン大活躍なのである。

基本、それぞれの曲の世界観に則った内容になっているのだが、「ハートブレイク」と「DESTINY」はダンスシーンになっている。これは「感謝して別れるのは小説だけ」とか「安いサンダルを履いてた」といった歌詞のニュアンスが外国人には伝わりづらいからだと聞いた記憶がある。

そんな中で一番わかりやすく作られていたのは、高層ビルから身を投げた女性のことを歌った曲「ツバメのように」ではないかと思う。この映像は当時いろんなテレビ番組で紹介され、流されていた。ということは結構なプロモーションがされていたということなのかもしれない。

後のライブ演出やパフォーマンスに大きな影響を与えた作品


このビデオクリップがどの程度のセールスだったのかわからないのだが、この作品が後のユーミンのライブ演出やパフォーマンスに影響を及ぼしたのは間違いないだろう。

しかし何より嬉しかったのは当時テレビにほとんど出演することのなかったユーミンの動く姿が見られたということだ。ビデオカセットをセットすればいつでもユーミンに会えるのだから。

この作品は今でもDVDで手に入るようなので、見たことがない人はぜひ見てほしい。映像に多少の古さは感じるものの、ユーミンの楽曲における世界観の広さに改めて驚かされると思う。なぜならこの作品に収録されている8曲全て、ユーミンが20代のときに作られているのだから。そんな若さでいったいどんな感性してるんだ、ユーミン!

あと、余談ですが。ユーミン、演技はそんなに得意じゃないんだなってことにも驚かされると思います。…… 怒られるかな(笑)。

2020.09.01
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1975年生まれ
林ともひと@muzikrecord
この時期私は10歳前後
どうもユーミンのジャケットが怖くて
このビデオもなんだか呪いがかかりそうで怯えていたがどうにも気になってました。
後々CD化の波で出会ったピンクフロイドのジャケットを担当していたヒプノシスだった事を知り納得でございました。
この作品を観れたのはDVDになってから。
斬新でございましたw!
2020/09/01 12:50
1
返信
1966年生まれ
不自然なししゃも
確かに怖いかもしれない(笑)。
2020/09/02 21:10
1
カタリベ
1966年生まれ
不自然なししゃも
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