僕が大学生のとき、青山にパイドパイパーハウスというレコードショップがあった。青山通りから骨董通りにちょっと入った右側だっけ。僕の場合、行ってた学校が広尾の辺りだったので、六本木通り沿いのコカコーラ本社があった交差点から青学の横をぐーっと抜けて行ってたけれど。もちろんお金なんてそんな持ってないから、2〜3回通ってLPを1枚買うか買わないか、そんな感じ。
でも楽しかったんだよね。ちょうど50'sや60'sのアメリカンポップスにハマっていた時期だったこともあって、宝物のようなレコードが山ほどあった。今となっては全く信じられないだろうけど、たかがレコードショップに行くためだけにお洒落していたんだよ。20才前後のガキが、ちょっと背伸びしながら通ぶって。でもね、そこでレコードを物色するだけの時間がどんなに心地良かったことか。
そのうち、僕の趣味趣向がブラックミュージックやワールドミュージックにシフトしていったり、WAVEのような質と量を兼ね備えたショップが渋谷にもオープンしたりして、ちょっとずつ足が遠のいていってしまったけれど、それでも「パイドパイパーハウスでレコードを選んでいた感覚」というものは鮮明に残っている。言葉にするのはとても難しいけれど、何と言うか「豊かな時間を過ごした感覚」がしっかりと残り続けているんだよなあ。
パイドパイパーハウス
1974年11月開店〜1989年6月閉店
2015.12.23
Information