斉藤由貴と菊池桃子、1985年にリリースされた2つの「卒業」
以前のコラム『斉藤由貴「卒業」80年代に誕生した昭和の卒業ソング』に引き続き、 1985年にリリースされ、今なお名曲として君臨するもうひとつの「卒業」の話です。
2つの卒業とは、1985年2月21日にリリースされた斉藤由貴の「卒業」と、1985年2月27日にリリースされた菊池桃子の「卒業-GRADUATION-」のことで、今回は菊池桃子の卒業の話。
この同時期にリリースされた2つの卒業をデータとして見てみると、斉藤由貴の卒業はオリコンの順位で最高6位、菊池桃子の卒業はオリコンの順位で最高1位ということなので、セールスの面では菊池桃子に軍配が上がることになる。
斉藤由貴はデビュー曲、菊池桃子は4枚目のシングル
でもこれは、斉藤由貴の卒業はデビュー曲、菊池桃子の卒業は4枚目のシングルと、1983年から学研のアイドル雑誌「Momoco」イメージガールとして活動を開始し、1984年には歌手としてデビューしているというアイドルとしての実績の違いがその差になったのではないかとも考えられる。
なんてったて菊池桃子は卒業がリリースされた1985年には日本武道館で単独コンサートを行っているのだから。
菊池桃子の「卒業」ソングライターは秋元康と林哲司
菊池桃子の「卒業-GRADUATION-」は、作詞が秋元康、作曲は林哲司で、菊池桃子のデビュー曲でもある「青春のいじわる」からずっと手がけていた名コンビだ。
この曲は、秋元康がおニャン子に関わるちょっと前の作品。天才秋元康がこの曲のテーマに設定したのは学生時代の恋… その甘さを思い起こしては、もう戻らないであろうあの頃を切なく思う… ビターな感傷にひたる少女が主人公の曲だ。
あの時、クラスメイトの皆と一緒に撮った卒業写真。その写真を小道具として効果的に使用しながら、聴き手をセンチメンタルでノスタルジーな世界へといざなう歌詞が実に魅力的で、菊池桃子のファンでなくても共感できる、実に素晴らしい作品に仕上がっている。
囁くような歌い方で切なさ倍増?
お世辞にも歌唱力抜群とは言えなない菊池桃子だけど、その囁くような歌い方は個性的かつなんとも言えない”味”があったので、彼が都会へと旅立ってしまう切なさを歌うこの「卒業」に実にあっていると思う。
もちろん秋元康も林哲司もそれを承知での曲作りだったはずだ。切なさを歌わせたら、菊池桃子の囁きボイスは天下一品だという事をね。
斉藤由貴と菊池桃子の卒業は、僕にとって卒業をテーマにした曲の中で甲乙付け難いワン・ツーです。皆さんの卒業をテーマにした曲のNo.1って誰の曲ですか?
Song Date
■ 卒業 -GRADUATION- / 菊池桃子
■ 作詞:秋元康
■ 作曲・編曲:林哲司
■ 発売:1985年(昭和60年)2月27日
2020.02.27