松田聖子、1983年の夏シングル「天国のキッス」
今でも大好きな松田聖子。
今回紹介するのは 1983年4月27日に発売されたシングル「天国のキッス」です。
デビュー以来、聖子プロジェクトは季節感の強い楽曲を戦略的にリリースしていて、爽やかでフレッシュなイメージを増幅させる “夏のシングル” に力を注いでいたように思います。
デビュータイミングでは「裸足の季節」と「青い珊瑚礁」、2年目に「夏の扉」と「白いパラソル」、3年目は「渚のバルコニー」と「小麦色のマーメイド」。そして4年目に満を持してリリースされたのが、この「天国のキッス」でした。次作の「ガラスの林檎」は秋の予感を感じさせる曲なので、この年の夏シングルはこの1曲だけですね。
プロジェクトを牽引していた松本隆が、「天国のキッスは聖子プロジェクトの最高傑作」と言っているくらいですから、本人も含めたチーム全体がノリに乗っている中で生まれた1曲なんでしょう。作曲と編曲には細野晴臣も参加しています。
―― ああ、この曲を聴くと今でも高校時代の夏休みが蘇るなあ。当時、休みの期間中も彼女と一緒にいたくて、2人で予備校の夏期講習に申し込んで御茶ノ水まで通っていたのです。
1983年、東京の夏を彩った名曲たち
授業がお昼過ぎに終わって、小川町のロック座に寄ったり駿河台の楽器屋を何件もハシゴしたり、疲れたら神保町の喫茶店で涼んで… みたいな毎日。当時はスタバなんてなかったけど、この界隈には個性溢れる喫茶店が山のようにあって、選ぶのには苦労しなかったなあ。
そんな1983年、夏の東京でよくかかっていた曲は、こんな感じ。
め組のひと / ラッツ&スター
レッツ・ダンス / デヴィッド・ボウイ
見つめていたい / ポリス
高気圧ガール / 山下達郎
フラッシュダンス / アイリーン・キャラ
南極物語 / ヴァンゲリス
だから、これらの曲を耳にすると今でも東京のモワッとした空気を思い出します。それにしても何というキラ星のような名曲の数々。眩しくも壮観とはまさにこのことですね。
錚々たるミュージシャンが集った “聖子プロジェクト”
もとい、松田聖子の話でした。
この聖子プロジェクトには、大瀧詠一、ユーミン、細野晴臣といったソングライターはもとより、大村雅朗という天才アレンジャー、ミュージシャンでは名うてのフュージョンバンド=パラシュートのメンバー(林立夫、井上鑑、松原正樹、今剛…)を中心に、鈴木茂やら高水健司やら青山純やら錚々たる面子が集まっていました。当時はそんなことを気にしてレコードを聴いていたわけではないですが、初めてハマったアイドルの楽曲クオリティが凄まじく高かったことは、本当に良かったなぁと思ってます。
いやいや、楽曲としての完成度はもちろん素晴らしいのですが、ぶっちゃけそんなことは後付け、理屈っぽいことを書いてしまいました。
一番の魅力は聖子ちゃんご本人!
トップアイドルとしての素養を全て兼ね備え、なんといってもブラウン管からオーラがはみ出してましたからね。こんな女の子が歌番組に限らず、ほぼ毎日テレビに映ってたんだから、ティーンエイジャーが観ないわけない、そりゃ観るでしょう!
※2016年8月3日、2018年4月27日に掲載された記事をアップデート
2021.04.27