皆さんは、有名人の中に自分と同じ誕生日の人がいるかどうか知っているだろうか? 僕は、暇に任せて自分の誕生日について調べたことがある。残念ながらジョン・レノンやモハメド・アリといった神様レベルの人は皆無で、「知る人ぞ知る」とか「いい線行ってる」感じの人ばかりだったのだが、その中でおそらく最も有名人と言えそうなのがダリル・ホールであった。それを知って以来、僕は勝手に彼に親近感を抱いている。
ダリル・ホールはジョン・オーツと組んで、80年代に怒涛のようにシングル・ヒットを連発した。特に81~84年には、「キッス・オン・マイ・リスト」から始まって、「プライベート・アイズ」を含む5曲の全米No.1を生み出したのだから、もの凄い人気だったと言える。音楽評論家の渋谷陽一は彼らの音楽を「ソウルミュージックとプログレッシブなロックサウンドのフュージョンによるポップミュージック」と説明したが、要するに、彼らのベストアルバムのタイトルにもなっている『Ronk'n Soul』がその音楽性を最も正確に表していると思う。
以前、彼らのアイドルがモータウンのテンプテーションズだったという話を聞いたことがあるが、僕は彼らのサウンドからデトロイトのモータウンよりもフィラデルフィア・サウンド(フィリー・ソウルとも言う)の影響を強く感じている。もちろん、ダリル・ホールがフィラデルフィア近郊で育ち、10代からフィラデルフィアでスタジオミュージシャンをやっていたということが大きい。そして、その頃既にケニー・ギャンブルと接点を持っている。
ケニー・ギャンブルとレオン・ハフのコンビは、70年代のソウルやポップスの世界で最も成功を収めたライターチームの1つである。実際、ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ、スリー・ディグリーズ等、フィリーのヒット曲の殆どがこの2人の作品だ。フィリーの特徴は、何と言っても華麗なストリングスと流れるようなメロディーラインだが、モータウンと比べると軟弱なサウンドに聴こえるかもしれない。しかしダリル・ホールは、こうしたフィリーのエッセンスを核としながら、軽快なビート、コンパクトで親しみやすい曲作りによって、80年代版フィリー・サウンドを実現したと言えるのではないだろうか。
と言うことで、上述の2曲と僕の好きな「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」を聴いて、是非、サウンドの中に隠れているフィリーっぽさを感じてほしい。
Kiss On My List / Daryl Hall & John Oates
作詞・作曲:Daryl Hall・Janna Allen
プロデュース:Daryl Hall・John Oates
発売:1981年(昭和56年)1月24日
脚注:
■ Daryl Hall & John Oates
「Kiss On My List」(81年4月11日1位)
「Private Eyes」(81年11月7日1位)
「I Can't Go For That(No Can Do)」(82年1月30日1位)
2016.10.11
YouTube / hallandoatesVEVO
YouTube / hallandoatesVEVO
YouTube / hallandoatesVEVO
Information