9月1日

ホール&オーツとシンプリー・レッド、絶妙なポジショニングの音楽性

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ホール&オーツのアルバム「プライベート・アイズ」が全米でリリースされた日(アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット 収録)
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photo:SonyMusic  
photo:simplyred.com  

シンプリー・レッドが2003年にリリースしたシングル「サンライズ」を初めて聴いた時、僕は学生時代に音楽仲間たちと交わした、とても他愛ない(と言うか単にくだらない)会話を思い出した。

何故かと言うと、この曲が、ダリル・ホール&ジョン・オーツの1981年のヒット曲「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」のバックトラックをサンプリングしていたからだ。

10代の頃から音楽オタク道を邁進していた僕の学生時代は、まさに「類は友を呼ぶ」の如く、自分と同じような音楽オタクの男子たちと、夜な夜なファミリーレストランに集合して、生産性も創造性も何にもない会話をダラダラと続けていた。

ある夜のこと、僕たちは「自分のガールフレンドには、どんな音楽を聴いていて欲しいか?」という、実にくだらないテーマで激論を戦わせた。

音楽オタクとは勝手なもので、女子とも音楽について語り合いたいのが本心なのに、その彼女に「ユーミンが好き」とか「ホイットニー・ヒューストンのデビューアルバムは聴いたことがある」などと言われると、急に物足りなくなってしまう。

念の為に補足しておくと、ユーミンやホイットニーに全く罪はない。言いたいのはそういうことではなく、80年代半ばに「音楽に対して特に関心や造詣が深い訳ではない、ソフトトラッドな女子大生」がいかにも言いそうなセリフを例示しただけなので、くれぐれも誤解なきよう。

で、その一方、彼女があまりにもコアな趣味を持っていたら、それはそれで女子としてかわいくないと感じてしまう。今思えば男尊女卑も甚だしい話だが、当時は大真面目にそう思っていた。きっと、こういうのを「未熟さゆえの傲慢さ」と言うのだろう。

しかし、こんな、まるで禅問答のような問いにもかかわらず、当時の僕は友人たちとの議論を通じて自分なりに解を導き出していた。それが「米国ならホール&オーツ、英国ならシンプリー・レッド」であった。

と言うのも、彼らの音楽はとにかく「ちょうどいい」のだ。彼らは「音楽ファンなら誰もが知っている」と言える程度には有名だが、日本においてはマイケル・ジャクソンやマドンナなんかと比べるとメジャー過ぎず、その存在感がまず「ちょうどいい」感じだった。

それに、彼らのサウンドは、表面的には十分にポップで取っつきやすいのに、じっくり聴くと、様々な音楽の要素が複雑にブレンドされているので、音楽オタクの深掘り欲求を満たしてくれる… つまり、「オタク」と「ミーハー」の間の「ちょうどいい」場所に位置していた。

80年代当時、一般にホール&オーツとシンプリー・レッドの音楽は、どちらも「ブルー・アイド・ソウル(Blue-Eyed Soul)」と呼ばれていた。「ブルー・アイド・ソウル」とは、要するに「黒人音楽の影響を強く受けた白人音楽」のことである。

だが、彼らの音楽に対して僕は、そう言った音楽ジャンルの一つと言うより、むしろ彼ら自身が既に一つのジャンルなんじゃないか、そんな風に考えていた。彼らのサウンドは、いかにも万人受けしそうだし、いわゆる「ミドル・オブ・ザ・ロード(Middle of the Road)」に該当すると思うが、その割にライバル的な存在が殆ど見当たらない。つまり「王道なのにニッチ」なのだ。

だから、そんな絶妙なポジショニングの彼らに注目している女子がいるとしたら、きっと相当ハンサムな娘に違いない、30年前の僕は本気でそう考えていたのだった。


Song Data
■I Can't Go For That (No Can Do) / Daryl Hall & John Oates
■作詞・作曲:Sara Allen・Daryl Hall・John Oates
■プロデュース:Hall & Oates
■発売:1981年12月14日



Billboard Chart&Official Charts
■I Can't Go For That (No Can Do) / Daryl Hall & John Oates(1982年1月30日 全米1位、1982年2月27日 全英8位)
■Sunrise / Simply Red(2003年3月29日 全英7位)


2019.04.22
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  Apple Music


  YouTube / Daryl Hall & John Oates


  YouTube / Simply Red
 

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Nicki Bluhmという西海岸出身の女性シンガーによる"I Can't Go For That"のカバー。クルマを走らせながら演ってるのですが、なかなか気分良さ気でオススメです↓
https://youtu.be/WJiCUdLBxuI
2019/04/22 10:00
0
返信
1965年生まれ
中川 肇
Simply Red "Sunrise"の2005、09、10年のライブ動画です。こっちは割とスタジオ版に忠実な感じです↓
https://youtu.be/dOeShVYMlCM
https://youtu.be/pWgBl1SrCMM
https://youtu.be/GWv4MPGYEKo
2019/04/22 09:42
0
返信
1965年生まれ
中川 肇
Hall and Oates "I Can't Go For That"の2008年のライブ動画です。スタジオ版の打ち込みっぽいサウンドとは全然違うけど、こういうアコースティックな演奏もいいですよ↓
https://youtu.be/h7KpGWMCGH4
2019/04/22 09:40
0
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