大学時代、中古レコード屋でバイトをしていた。名を「廃盤専門店 えとせとらレコード」という。今も業界では有名な老舗だ。当時は蒲田に3店舗、新宿に1店舗あり、私は邦楽メインの蒲田店で働いていた。
時給は激安だったものの、レコード聴き放題、欲しい盤は安く買える特典付き!
レコード袋はエナメル風の光沢を放つ群青色で、独特の書体で「えとせとらレコード」と入っていた。この袋を持って歩くのは、恥ずかしいような自慢のような、不思議な気持ちだったのを思い出す。
店は、店長と大学生のバイトでまわしていた。バンドをやってたメタル男子やサブカル美大生と一緒に、好きなレコードをかけ、ただただ音楽を聴いていた。
閉店時間の8時近くになると、山崎ハコタイムと称して、「兄妹心中」や「呪い」を大音量でかけていたっけ。
店長と一緒にレジに入る時は、彼の趣味に付き合わされた。いわく、パンタやムーンライダーズ、近田春夫など。私がこのあたりの音が好きになったのは確実に店長の影響だ。
年末などになると貴重盤のオークションが開催された。はちみつぱいや大滝詠一、雪村いづみ、四人囃子、ポータブル・ロック(野宮真貴)、SPEEDWAY(小室哲哉)、ダイナマイツなど、マニア垂涎のブツが店内に飾られたものだ。
当時はそのレコードをめがけて問い合わせが殺到した。大滝詠一の音源は10万円近くまで高騰したのを覚えている。
社長は元質屋で歌謡マニア、結構気さくな方だった。よくレコードの博物館を作りたいと言っていたが、ずっと後、すでに閉館してからその夢が叶ったのをウェブサイトで知った。
今も思い出すのは「音楽は思い出を売るもの。CDは音を売ってしまった。」という言葉だ。CDが売れなくなり、若者の音楽離れが話題になる現在を、社長はどんな風に見たかな、とふと思う。
現在はオーナーが変わり、蒲田店1店舗で営業しているらしい。私自身はレコードは全部手放してしまった。レコ屋からも足が遠のいているけど、昨今のアナログブームがちょっと気になっているところ。久しぶりに行ってみようかね。
2016.04.25
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