1996年 1月1日

globe と JR ski ski の最強タッグ「DEPARTURES」終わらなかった2つのバブル!

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音楽ソフトがもっとも売れた90年代、バブル崩壊の頃に始まったCDバブル


俗にいう “バブル崩壊” は1991年の3月から始まったとされる。その頃から徐々に、地価の下落だ、不良債権だ、不景気だ、就職難だ…… といった話を耳にするようになった。しかしだからといって、大衆が価値観やライフスタイルをいきなり変化させることも、バブル期の流行がすぐに下火になることもなかった。むしろ、バブル崩壊後も衰えるどころか、さらに勢いを増した業界もあったほどだ。たとえばそれはポピュラー音楽業界とスキー業界である。

日本で音楽メディアがもっとも売れた時代は90年代だ。テレビ番組やCMとの積極的なタイアップ戦略の効果、プレイヤーとカラオケボックスの普及が重なり合って、J-POPと呼ばれ始めた音楽の需要が拡大。CDが爆発的に売れ、毎年のようにミリオンセラーが続出するようになった。

バブル的に売れた最初の例は、258.8万枚(オリコン調べ)を記録したテレビドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)の主題歌、小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」だろう。ちなみに、『東京ラブストーリー』の放送は1991年の1月から3月まで。「ラブ・ストーリーは突然に」(「Oh! Yeah! ⁄ ラブ・ストーリーは突然に」という両A面扱い)のリリースは1991年2月。つまり、CDバブルは経済上のバブル崩壊と前後して始まったのである。

CDバブルの申し子、小室哲哉が送り出したラスボスglobe


それから4年後の1995年、膨れ上がったCDバブルの中心にいたのは小室哲哉である。プロデューサーとして、3ヶ月連続でリリースされたtrf(現:TRF)のシングルをいずれもミリオンセラーとし、H Jungle with tの「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント~」も200万枚以上売れるヒット曲にした。さらに、華原朋美、安室奈美恵のプロデュースも手掛けるようになり、両者をカリスマ的存在に導いている。

同じ年の8月に、TKブームのラスボス的位置付けのユニット、globeがシングル「Feel Like dance」でデビューしている。メンバーは3名。ボーカルのKEIKO、ラップを担当するマーク・パンサー、そして小室哲哉自身が参加した。当初はあえて露出を抑え、テレビ出演もナシ。ユニットをじっくりと熟成させていくという戦略をとったのだ。それでも年内にリリースしたシングル3枚はいずれもミリオンに近い売上を記録した。時代がTKサウンドを求めていたのである。

JR ski skiのCM曲、ZOO「Choo Choo TRAIN」


次にスキー業界の状況を確認しよう。『レジャー白書』(日本生産性本部余暇創研)によれば、80年代に右肩上がりで増え続けていた日本のスキー人口は'88 / '89シーズンに1000万人を突破。団塊ジュニアが20代を迎えたタイミングだったこともあり、バブル崩壊後も勢いが止まらず、'92 / '93シーズンにはピークとなる1770万人をカウントした。それはちょうどスノーボード人口が急増した時期と重なる。そして、スキーヤーとスノーボーダーを合わせた人口のマックスは'97 / '98シーズンで、実に1800万人を数えている。

さて本題に入りたい。globeと「JR ski ski」(現在は「JR SKISKI」だが、ここでは当時の表記で統一)についてだ。JR ski skiとは、JR東日本が新潟県南魚沼郡湯沢町にオープンさせた駅直結型スキー場「ガーラ湯沢」と、新幹線利用のスキー旅行をプロモーションするために、バブル崩壊後の'91 / '92シーズンより始めたキャンペーンである。

キャンペーンキャラクターも務めたZOOによるCM曲「Choo Choo TRAIN」はミリオンヒットに。スキーのイメージアップに大きく貢献したZOOは、JR ski skiの顔としての役割を'94 / '95シーズンまで果たすことになる。



CDバブル×スキーバブルから生まれた無敵のコラボレーション「DEPARTURES」


次の'95 / '96シーズン、JR ski skiが新たに組んだパートナーが絶頂期にあった小室哲哉だった。つまり、CDバブルとスキーバブルが合体したのだ。JR東日本側は、TKサウンドをCMで流すことでスキーが時代の先端をいく若者のレジャーだというイメージを作ることができた。小室側は、誰もが知る大企業とのタイアップは絶大なるプロモーション効果が期待できた。

CM曲の「DEPARTURES」は、小室哲哉がCMの内容ありきで作った曲だという。それまでのウインターソングとは異なる、哀愁を帯びたマイナーコードのメロディだった。ZOOが出演していた従来のCMシリーズは、今の言葉でいう “パリピ” 的男女グループを描いていたが、新シリーズは趣を異にした。描かれたのは、当時、俳優として売出し中の竹野内豊と江角マキコが演じる、新幹線でサクッとスキー場に出かけるスタイリッシュな都会の社会人風カップルだ。

ゴンドラに乗り込む途中、江角が「今夜、夕ごはんどうする?」と問いかけると、竹野内が「ああ、東京帰ってから」と答える。CMには、ガーラ湯沢から東京駅に戻った2人を描いたバージョンもあった。当時は東京からガーラ湯沢まで最短で81分。「ラクに行こう。」というキャッチコピーとともに、スキー場が都会とつながっている遊び場であることがひたすらアピールされた。その演出は、すでに過去のものになりつつあった “トレンディドラマ” の肌触りだった。バブル崩壊から5年。そこだけは別世界だったのである。

「DEPARTURES」は当然のごとく売れた。累計セールスは228.8万枚(オリコン調べ)。現在までのところglobeの最大のヒット曲である。
 
そして、次の'96 / '97シーズンもJR ski skiと小室哲哉のタッグは続き、田辺誠一とモデルの青山恭子が出演する前シーズンと同路線のCMが制作された。globeによるCM曲「Can't Stop Fallin' in Love」は、“「DEPARTURES」のような曲” を求めていたリスナーに見事に刺さるマイナーコードの切ないメロディ。こちらも130万枚を超えるヒットとなった。

「DEPARTURES」や「Can't Stop Fallin' in Love」が海外で評価される時代が到来


ところで、スキーバブルとCDバブルはいつ崩壊したのか? 実はほぼ同時期である。スキー人口は’98 / '99シーズンより頭打ちとなり徐々に減っていく。スノーボード人口は2000年代初頭までは増えたが、以後は減少傾向となった。一方、CDの売り上げは1999年より下がり始め、2002年にはシングルのミリオンセラーは1曲にとどまっている。

時は流れ、現在のスキー業界、音楽業界はともに、それぞれのバブル期には考えられなかったかたちでマーケットを拡大させている。2000年代以降、日本独自の地理的条件がもたらすパウダースノーが、インバウンドという新たな客層をこの国のゲレンデに多数呼び込んだ。また、動画サイトやサブスクの時代になり、旧譜も含めた日本の楽曲が海外でも高く評価されるようになった。もしかすると、今も世界のどこかで、「DEPARTURES」や「Can't Stop Fallin' in Love」を発見している人がいるかもしれない。



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2022.12.03
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