この御時世、コンプライアンス! コンプライアンス! と五月蠅いから地上波やラジオではもう流せないでしょうね… 名曲なんだけど。
作詞は秋元康。
「♪ ごめんね アチャコ」で始まるA面のタイトル曲は「歌謡曲」。これから紹介する曲はいわゆるそのB面である。
80年代から90年代半ばに思春期を過ごした “とんねるずファン” ならば、この曲を知っている人は結構いるはずだ。なぜなら、受験シーズンになると、『とんねるずのオールナイトニッポン』で毎週のように流れていたからだ。
「受験生諸君! 無駄な抵抗はよせ。今からでは遅すぎる!」
「早く遊びに行こうぜ! タバコもあるぜ!」
落ちる 落ちない
落ちる 落ちない
ほら 落ちた
枯葉が風に 一枚落ちた
滑る 滑らない
滑る 滑らない
ほら 滑る
バナナの皮で 誰かが滑った
とんねるずの「落ちて滑って不合格」は1986年1月21日、まさに受験シーズンの真っ只中に投下された。
A面の「歌謡曲」はオリコンで2位。とんねるずの黄金期初期に出た名曲だが、1つ前のシングル、代名詞とも言える「雨の西麻布」(最高位、5位)よりヒットした。売り上げは24万枚超… ショーケンのパロディソング「迷惑でしょうが…」(15万枚)よりも売れた。この後「歌謡曲」の売り上げを超えたシングルは「情けねぇ」(73万枚)まで待たねばならず、実はかなり売れたシングルだ。当時買った人も多いはず。
だが、このシングル、今となってはB面の「落ちて滑って不合格」の方が印象深い。何しろ、歌詞が本当に凄い。
「受験なんか運なんだよ! いくら勉強してもダメな奴はダメなんだよ!」という台詞から始まり――
落ちる 滑る 落ちる 滑る
落ちる 滑る
落ちる 滑る 落ちる 滑る
落ちる 滑る
落ちる
滑る
うけるなら とめはしないけれど
受験料が むだなだけさ
とんねるずは受験シーズンになると毎週この曲をかけ続けた。その破壊力は相当なもので、学校ではこんないたずらが多発した。
其の壱。
受験する奴に「とんねるずの曲ダビングしたから…」と言って貸してやる。
其の弐。
「いいバンドあるよ」などと誘い込んで無理やり聞かせる。
他にも受験生のいる部屋で音量を上げて流すとか、色々な嫌がらせが全国で流行ったような気がする(笑)。
聴いた受験生の態度も千差万別だ。とにかくまっ赤になって怒る奴、泣きそうになる奴、笑いまくる奴、友人の縁を切ろうとする奴… ホント、色々な奴がいたなぁ。
発売から30年以上が経ち私たちはもう立派なおじさんとおばさんだ。当時は受験戦争で自殺したヤツも確かにいたよ。受験で確かに人生が変わる。でも落ちても何とかなる。社会人になっても受験はあるがガキだった頃に比べるとこの曲を楽しんで聴ける。
とんねるずも言っていた… 失敗なんて 気にするな 来年もまたある。
追記
そのあと「一浪二浪三浪と続いたら きっとあきらめるもするだろうさ」という歌詞が続いていることは内緒だ! がんばれよ。
2019.02.19
YouTube / Koichiro Watanabe
niconico DOUGA / 落ちて滑って不合格
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