90年代デビューアーティスト ヒット曲列伝vol.6
■ SMAP「SHAKE」
作詞:森浩美
作曲:小森田実
編曲:CHOKKAKU
発売:1996年11月18日
売上枚数:87.6万枚
1990年〜1999年の10年間にデビューし、ヒットを生み出したアーティストの楽曲を当時の時代背景や、ムーブメントとなった事象を深堀しながら紹介していく連載の第6弾。今回は、SMAP「SHAKE」を紹介します。
歌って踊って楽しい曲といえばSMAP!を決定づけた、CHOKKAKUの名アレンジ
木村拓哉がイントロで「プルゥーハァーッ!」とシャウトするモノマネを、A.B.C-Zの河合郁人が披露する光景を、テレビのバラエティ番組でよく見かけるようになりました。
ジャニーズの先輩をモノマネするという、誰かがやってそうでいなかったモノマネを披露した河合郁人の着眼点とスキルに脱帽です。何度もテレビで披露しているということは、お茶の間で観ている視聴者もわかるモノマネをしているということ。これは、イントロで木村拓哉が「プルゥーハァー!」と叫ぶ 「SHAKE」が、国民的ヒットソングになっていることの証明です。
この曲のアレンジを担当したのはCHOKKAKU。
彼は、ファンクバンドFLEXのメンバーとしてデビューして以降、多くのアーティストの作曲・編曲を手掛けたミュージシャンです。特に、ジャニーズ所属のアーティストへの提供が多く、中でもSMAPには、「SHAKE」以外のシングルも、アルバム曲でもアレンジを担当。ファンキーでダンサブルな、歌って踊って楽しい曲といえばSMAPという、90年代のジャニーズサウンドの象徴的なイメージを作ったのは、CHOKKAKUのアレンジがあってこそでした。
数字で観るとわかる、SMAPの失敗を恐れない挑戦と成功への道
SMAPは「SHAKE」リリースの1年前に、オートレーサーになるという夢を選んだ森且行が脱退。デビューから一緒に活動を続けてきたメンバーで且つ、リードボーカルを務めていた曲が多かった森の脱退が決定した状況で、残ったメンバーが選んだ選択は、5人で活動を続けること。5人になったSMAPの初シングルとしてリリースした曲は、作曲を手掛けた林田健司のカバー曲「青いイナズマ」でした。
メンバーの中居正広は、音楽トーク番組『TK MUSIC CLAMP』での林田健司との対談で、
「(個人的にSMAPが)あ、いい感じになってきたなぁ」って初めて感じたのは(林田健司が作曲した)1993年リリースの「$10」からです」
―― と語っているように、SMAPとしてステージが一つ上がった体験をした「$10」の成功を信じ、5人としての船出を林田健司に委ねたのではないでしょうか。結果はそれまでにSMAPのシングル売上枚数の最高だった「俺たちに明日はある」の78.5万枚を超え、「青いイナズマ」は81.4万枚と、初の80万枚を突破。続いてリリースした「SHAKE」は87.6万枚とさらに最高売上を更新します。
「$10」「青いイナズマ」のアレンジを担当したのも「SHAKE」と同じCHOKKAKUです。SMAPの失敗を恐れない挑戦は、CHOKKAKUという絶対的なアレンジャーがいたからこその結果だったのです。
超ベリべリ最高なジャニーズソングは今も繋がっている!
CHOKKAKUは、SMAP以降にデビューしたジャニーズグループの楽曲アレンジでも、多くのヒットソングを生み出しています。その一部のグループ名とタイトルを下記に挙げてみました。
■ V6 / 愛なんだ
■ KinKi Kids / 愛されるより 愛したい
■ トラジ・ハイジ / ファンタスティポ
■ 嵐 / WISH
■ タッキー&翼 / Venus
■ KAT-TUN / Real Face
■ Sexy Zone / Sexy Zone
■ Hey! Say! JUMP / Ultra Music Power
■ NEWS / チャンカパーナ
■ ジャニーズWEST / ええじゃないか
年末のジャニーズカウントダウンコンサートで上記の楽曲がメドレーでかかったら、超ベリべリ最高! 大盛り上がりのシーンしか想像できません。そしてSMAP「SHAKE」で確立したCHOKKAKUの、ファンキーでダンサブルな歌って踊る楽しいジャニーズアレンジが継承されていることもわかっていただけるのではないでしょうか。
叶うのであれば、SMAPが揃って歌う姿を観たい!
―― そんな未来が待っていると信じて、私は今日もしあわせな気分で「SHAKE」を聴くのです。
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2023.05.14