1996年 7月22日

岩井俊二、CHARA、小林武史【YEN TOWN BAND】が創り上げた令和の予言ソング?

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YEN TOWN BAND「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」発売日
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90年代デビューアーティスト ヒット曲列伝vol.9
■ YEN TOWN BAND「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」
作詞:岩井俊二, CHARA, 小林武史
作曲:小林武史
編曲:小林武史
発売:1996年7月22日
売上枚数:87.8万枚

1990年~1999年の10年間にデビューし、ヒットを生み出したアーティストの楽曲を当時の時代背景や、ムーブメントとなった事象を深堀しながら紹介していく連載の第9弾。今回は、YEN TOWN BAND「Swallowtail Butterfly〜あいのうた~」を紹介します。

岩井俊二というクリエイターの才能が世の中に見つかった!


1996年9月14日に、岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』が公開されます。

1993年にフジテレビのドラマ枠『if もしも』のスペシャル版として製作した『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を演出し、日本映画監督協会新人賞を受賞。翌年に劇場公開され、1995年に初の長編映画『Love Letter』がアジアで大きな話題となり、国内でも大きなヒットが期待される中で制作された『スワロウテイル』は、架空の歴史をたどった、日本にある街「円都(イェン・タウン)」を舞台に、無国籍な世界の中で生きる人々を描き、興行収入6億円を記録します。



記録としてだけではなく、美術や映像といった視覚的なアプローチが、映画で描かれた世界観を、ため息が出るほど美しく彩っていたことが、当時の若者世代の心を鷲掴みにし、記憶に残る映画として語り継がれていきます。

その中でも特に異彩を放っていたのが、人を魅了する歌を歌える才能を持ち、違法労働者からのし上がり、シンガーとして成功する主人公、グリコを演じたCHARAのパフォーマンス。

グリコがボーカルを務めた架空のバンド、YEN TOWN BANDがリリースした曲が主題歌になることが決定しました。

デビューから異彩を放ち続けていたCHARAのブレないスタイル


1991年にシングル「Heaven」でデビューしたCHARAは、それまでのJ-POPのヒットアーティストとは一線を画す、ソウルやR&Bにルーツを持った、メロウで甘い歌声を持っていました。
ファーストアルバム『Sweet』に収録された「Break These Chain」が、岩井俊二が監督を務めたテレビドラマ『FRIED DRAGON FISH』の主題歌に起用されたことがきっかけで、音楽以外の活動の幅が広がっていきます。

後の対談で岩井俊二は、『FRIED DRAGON FISH』の時から、『スワロウテイル』の構想は頭にあり、その作品にCHARAは絶対に必要な人物だと確信していた―― と話してます。

デビューしてすぐの雑誌のインタビューで、

「最終的には何をやっても私なんだなって言われるようになりたい。いい曲を作って、いいバラードを歌っていきたい」

―― と話していたCHARAは、そのスタイルを崩すことなく、『スワロウテイル』という作品も、それ以降も、自分が想うカッコいいコトを貫き進んでいくのです。

YEN TOWN BANDは小林武史が感じてた90年代リバイバルサウンドそのものだった


岩井俊二からこの曲のプロデュースの依頼を受けた小林武史は後の対談で、

「コンピューターの音だけで作られた80年代のヒットソングサウンドのトレンドが、90年代に入って、変わってきているのを感じていた。それは60〜70年代のアナログ的な、ロックサウンドを求めてるというか。それをMr.Childrenのアルバム『深海』でアプローチしていたり。なので、岩井君からYEN TOWN BANDの話を聞いた時、俺はもう知ってるよ。やりたい音楽わかってるよ。と思った」

―― と話します。そして小林武史は、この曲のサビをたった5分で作り上げます。

そのメロディに歌詞を綴っていた岩井俊二は、映画に登場する架空の世界に生きる ”みんな” を歌った曲として、”僕ら” という言葉をサビに使おうとしていたのですが、共作したCHARAは、ここだけは変えたい!と提案します。その内容は、 ”僕ら” ではなく、サビは ”私” という一人称で歌わせてほしいということ。主人公のグリコが思っていることを伝える歌詞にした方が、曲が多くの人に届く。そう感じたCHARAは、どうしても譲れない! という強い想いでその変更を申し出ました。

想いを汲み取りリリースされたこの曲は、およそ87.8万枚のヒットを記録。CHARAの譲れなかったことは結果、多くの人に愛され続ける名バラードになったのです。



令和の時代は、リアル「スワロウテイル」


私は今回、この記事を書くために『スワロウテイル』を改めて観ました。

観終わって強く感じたことは、架空の世界が描かれているはずなのに、どこか、今の世の中(2023年現在)のことなんじゃないか、と思うシーンが数えきれないほど登場していたこと。

本当に予測不能な未来が訪れる時が来るんだな―― と、近年、私たちは何度、感じてきたでしょうか。

当時、第一線を走っていた映像クリエイター、シンガーソングライター、音楽プロデューサーの3人が作り上げた ”あいのうた” は、ノスタルジーに浸るだけで終わらない、現実の世界でしっかりと羽を広げ敬う心を育む、すべてに人に届く名バラードを創り上げたのだと胸が熱くなりました。

そしてこれからもきっと、涙が止まらない、痛みを感じたこともある夜を乗り越えてきた人の心に、「Swallowtail Butterfly〜あいのうた~」は響き続けるのです。

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2023.08.14
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カタリベ
1979年生まれ
藤田太郎
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