1996年 10月17日

L'Arc〜en〜Ciel の勝負曲「flower」まさかの “プロ野球ニュース” とタイアップ!

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90年代デビューアーティスト ヒット曲列伝vol.3

■ L'Arc〜en〜Ciel「flower」
作詞:hyde
作曲:hyde
編曲:L'Arc〜en〜Ciel & 小西貴雄
発売:1996年10月17日
売上枚数:33.6万枚

1990年〜1999年の10年間にデビューし、ヒットを生み出したアーティストの楽曲を当時の時代背景や、ムーブメントとなった事象を深堀しながら紹介していく連載の第3弾。今回は、L'Arc〜en〜Cielの「flower」を紹介します。

高い演奏技術と人懐っこくて哀愁のあるメロディ。L'Arc〜en〜Cielは、はじめから戦略的だった


L'Arc〜en〜Cielのボーカリスト、hydeは、著書『THE HYDE』の中で、結成当初のL'Arc〜en〜Cielをこう語っています――

「L'Arc〜en〜Cielって、1991年の2月に組んだんだけど、最初からとても戦略的だった、ベーシストのtestuyaは、前に組んでいたバンドを観に来てくれた人の名簿を持っていて、それを元にダイレクトメールを送ったりしてた。最初のライブで150人だったかな?ちょっと普通ではあり得ないような動員があったね。あとは缶バッジとか、ステッカーとかグッズみたいな商品作ったり、ファックス買って事務的なこともしてた」

―― かなり意外かもしれませんが、L'Arc〜en〜Cielは、カッコいいライブやれば、客はついてくる。そしたら勝手にプロになってるぜ!というような古き良きロックバンドの思想など全く無く、しっかりと自分たちが売れるにはどうすれば良いかを決めてからスタートしたバンドでした。

サウンド面に関しても、メンバー全員の高い演奏技術で、歌謡曲のような人懐っこくて哀愁のあるメロディを、空高くまでクリアに響くギターと高音ボーカルで美しく際立たせ、バンド全体で煌びやかに魅せるスタイルを作りあげ、その形を、大衆のド真ん中へ落とし込むための最適な手段して選択したKi / oon Records(キューンソニー、現キューンミュージック)から、1994年に鳴り物入りでメジャーデビューを果たすのです。

ライバルを意識して完成させた「flower」


戦略的な展開で、デビュー曲の「Blurry Eyes」、「Vivid Colors」、アルバム『heavenly』からのリカットシングル「夏の憂鬱~time to say good-bye~」を挟み、「風に消えないで」と4枚のシングルをリリースし、セールスも順調に伸ばしていたL'Arc〜en〜Cielは、次のシングルで勝負に出ます。作詞・作曲を手掛けたhydeは、著書『THE HYDE』の中で、この曲の戦略をこう語っています――

「当時、世の中ではMr.Childrenやスピッツとかが流行っていて、今、この国では、すごくアコースティックな匂いを欲してるなって思ったんだよね。それでアコースティックで、幻想的な曲を作りたいなと思って。ちょっと浮遊感があるというか、そういう雰囲気は、俺も好きだったからね。そのイメージで「flower」を作ったんだ」

―― チャート上位を競い合っていたライバルバンドを意識し制作された「flower」のアレンジには、L'Arc〜en〜Cielのメンバーに加え、広瀬香美の「ロマンスの神様」を手掛けた小西貴雄が参加しています。小西貴雄が加わったことで、ポップでキャッチーなメロディにプラスして、キュートさを含んだギターと、ブルースハープが混ざり合うイントロが完成。そこから曲終わりまでの4分59秒の間、ずっと幻想的な風景に彩られる名曲が誕生したのです。



タイアップは、まさかの『プロ野球ニュース』


「flower」は、前作の「風に消えないで」を超える、33.6万枚のヒットを記録しました。この曲がヒットした要因として絶対にかかせないのは、フジテレビのスポーツ番組『プロ野球ニュース』のイメージソングに起用されたことです。幻想的なサウンドと『プロ野球ニュース』は水と油。対極にあるモノのような印象を受けるのですが、L'Arc〜en〜Cielのメンバーは、「曲さえ聴いてもらえれば、絶対に売れる」という自信から、このタイアップを快諾。当時、野球が好きで番組を観ていた私も、番組の冒頭で「flower」が流れた時、「ラルクっぽい曲だな(クレジットを観て)えっ… ほんとにラルクの新曲じゃん! なんで!?」と思ったことを強烈に覚えています。

デビュー前と変わらない、多くの人に認知してもらえるためにはどうすれば良いかを考え抜いた戦略から、野球の試合がある日は必ずこの曲がTVから流れる、というプロモーション展開がハマり、ヒットにつながったのです。一緒に『プロ野球ニュース』を観ていた阪神ファンの父親が「めっちゃ良い曲やな」といったことを、私は一生忘れることは無いでしょう。

野球好きおじさん世代の心にも、きれいな花を敷きつめることに成功した、枯れない美しさを持つロックナンバーです。

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2022.12.04
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カタリベ
1979年生まれ
藤田太郎
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