3月10日

音楽は人をトリップさせる。スコットランドで聴いた「悲しきサルタン」

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ダイアー・ストレイツのシングル「悲しきサルタン」が日本でリリースされた日
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photo:alfa-img  

昔よく聴いていた音楽を改めて聴いてみると、その頃の出来事や気分が蘇ってきて、懐かしいような恥ずかしいような気持ちになることがある。逆にあまり聴いていなかったのにも関わらず、親近感のようなものが湧き上がってくることもある。いずれにしろ音楽にはイメージを呼び起こす力があるのだろう。

例えば、ダイアー・ストレイツの「悲しきサルタン(Sultans of Swing)」とか。

「悲しきサルタン」が日本でリリースされたのは1979年。その頃の僕はパンクロックにズッポリはまっていたのでこの曲に関する思い出は何にもない。それどころか初めから最後まで通してちゃんと聴いたこともなかったかもしれない。僕にとってはその程度の曲だった。

曲の発表から十数年後、僕がスコットランドに行ったときのこと。一日だけエジンバラでレンタカーを借りて、目的地も決めず田舎町を走り回ったことがある。

カーラジオを適当に合わせて音楽を聴きながら走っていると「悲しきサルタン」が流れてきた。「昔聴いたことがあるな〜」程度に聴いていると急に不思議な感覚に襲われた。サウンドと周りの景色がぴったり合って、以前にどこかで見たことがあるような懐かしさが湧き上がってきた。

その気持ちよさを感じながら車を走らせていると、今度は景色が急にぐ〜っと近づいてきて、その中に飛び込んでしまいそうな感覚に襲われた。動悸が激しくなり、「危ない、事故る!」と思いとっさに停車。

しばらくそこにじっとして動悸がおさまるのを待っていた。そして曲が終わると何もなかったかのようにその感覚は消えていた。決してヤバいものをやっていたわけではない。摂取したのは耳からの「悲しきサルタン」だけ。間違いなく合法。

今でも時々あれはなんだったんだろうと思うことがある。そしてまたあの感覚に襲われたいという期待も。かな〜り気持ちいい体験だったのだ。

ある日、何かのきっかけでダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーがスコットランド出身と聞いた時、僕はちょっとびっくりした。というのも、僕はずっとダイアー・ストレイツをアメリカのバンドだと勝手に思い込んでいたからだ。

僕が車で走っていたあの辺でマーク・ノップラーは生まれ育ち、「悲しきサルタン」を通して無意識のうちに僕は何かと一瞬繋がってしまったのか。安っぽくてオカルト話にもならないけど、そう思えて仕方がないのだ。プレイヤーの生い立ちがサウンドに影響を与え、聴いた人にその環境が伝わるなんてことがあるのだろうか?

その後「悲しきサルタン」を何度聴いても、あの感覚はピクリとも起きない。やっぱりあの場所に行かなければダメなのかな。

隠岐で漁船に乗った時、船にぶら下げてあったカセットレコーダーから流れてきた民謡を聴いてほんの一瞬あの感覚が蘇ってきたことがある。「悲しきサルタン」以上に聴いたことがない民謡でも起きるこの感覚はなんなのか?

気のせいと言ってしまえばそれまでだけど、それじゃあ面白くない。音楽には人をトリップさせるヤバい何かがきっとある。

2017.11.03
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カタリベ
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