1976年 4月21日

忌野清志郎が生涯歌い続けたあの曲を収録!数奇な運命を辿ったRCの名盤「シングル・マン」

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「シングル・マン」のデラックス・エディションがリリース


日本のライブバンドの金字塔、RCサクセション。2025年はデビュー55周年にあたるアニバーサリー・イヤーだ。そんな彼らのサードアルバムにして、バンドの軌跡を語る上で極めて重要な位置にある『シングル・マン』のデラックス・エディションがアナログレコードとCDで10月15日にリリースされる。

このデラックス・エディションは、オリジナルマスターテープからの最新リマスターとなっており、「スローバラード」のシングルバージョンも、そのB面曲「やさしさ」と共に収録されている。また「甲州街道はもう秋なのさ」と、後にアルバム『BEAT POPS』に収録される「恐るべきジェネレーションの違い(Oh,Ya!)」の未発表スタジオアウトテイクや、tvk(テレビ神奈川)で放送された『ヤング・インパルス』でのスタジオライブ音源も収録された充実の内容。

ハードフォークと呼ばれた時代を経て、グラマラスなロックバンドへ変貌を遂げる転換期にあった、RCサクセションの全貌を顕にしたといっても過言ではない豪華な構成になっている。

忌野清志郎が生涯歌い続けた「スローバラード」が収録


そう、日本の音楽史上屈指の名バラードであり、忌野清志郎が生涯歌い続けた名曲、「スローバラード」が収録されているアルバムとしても有名な『シングル・マン』。

アレンジャーには、井上陽水のミリオンセラーアルバム『氷の世界』(1973年)で全曲の編曲に携わった星勝が迎え入れられ、アコースティックの楽器編成が主体となっていたこれまでのサウンド作りから、初めて強靭なホーンセクションとエレキ主体でアルバムは作り上げられた。

1972年にファーストアルバム『初期のRCサクセション』、セカンドアルバム『楽しい夕に』をリリースしたRCサクセションは、長きにわたる不遇時代に突入しており、この状況を打破すべく、背水の陣で『シングル・マン』のレコーディングはスタートしたようだ。



虚飾を排した忌野清志郎の人間性が如実に表現された「ヒッピーに捧ぐ」


1曲目に収録されている「ファンからの贈り物」はアメリカ西海岸のファンクバンド、タワー・オブ・パワーが参加。その後、大きな変貌を遂げるRCサクセションの片鱗を感じさせるファンクナンバーとなっている。一方で、2曲目に収録されている、心地よいウッドベースの音色が印象的な「大きな春子ちゃん」は、どこか牧歌的でこれまでのRCサクセションのフォーキーなイメージを踏襲している。

まさに、転換期にあったRCサクセションのリアルな心情や方向性を模索する姿までもが映し出された全11曲。そんな本作が名盤たる所以は「スローバラード」の収録という理由も大きいが、「ヒッピーに捧ぐ」という詩人・忌野清志郎の本懐ともいえる名曲が収録されていることも忘れてはならない。同曲はRCサクセションのブレイクを心の底から望む理解者だったマネージャーの死について、赤裸々な言葉で綴ったものだ。

忌野清志郎はやり場のない現状について「♪電車は動き出した 豚どもを乗せて 僕を乗せて」と歌う。毒づきながらも、「♪空を引き裂いて 君がやってきて ぼくらを救ってくれると言った。」と、“理解者” に対して、これ以上にない素直な思いの丈を綴る。反骨精神があって、優しさがあり、虚飾を排した忌野清志郎の人間性が如実に表現されている。そこには怒りや悲しみから生まれる剥き出しの真実があった。



RCサクセションの本質である、内省的ともいえる心情の機微


『シングル・マン』は数奇な運命を辿ったアルバムであることでも有名で、1976年のリリース後、セールスが振るわず数ヶ月で廃盤。この状況を憂いた音楽評論家、吉見佑子氏が “シングル・マン再発売実行委員会” を設立。音楽業界のみならず社会的な注目を集めながら1980年3月に再リリースされた。

そしてRCサクセションはその直後、1980年4月に行われた久保講堂のライブを収録した『RHAPSODY』をきっかけにブレイクを果たす。“KING OF LIVE” の称号を得たRCサクセションはその後、『PLEASE』『BLUE』『BEAT POPS』といった、グラマラスなロックンロールバンドらしいオリジナルアルバムを毎年発表していく。

そういった流れの中で、筆者もそうであったように、彼らの音楽を掘り下げようと『シングル・マン』を手にしたファンも少なくない。そして、ロックンロールの躍動感をほしいままにしていたRCサクセションの本質である、内省的ともいえる心情の機微を知ることになる。

今回の最新リマスターは、ボーカルの質感がダイレクトに伝わってくるほどクリアな音質に仕上げられている。クリアな音質は、忌野清志郎の心情の機微をリアルに描き出し、人間味のあるあたたかさを感じることができるだろう。さらに未発表スタジオライブの音源からはミストーンも辞さないバンドの前のめりなグルーヴを感じ取ることができる。ここには “KING OF LIVE” への過渡期にあるRCサクセションのリアリティが如実に表れており、その渦中にリリースされた『シングル・マン』の存在意義を浮き彫りにしている。

RCサクセションデビュー55周年の節目にPOP-UP STOREを開催


そして、発売元のユニバーサル ミュージックでは今回のリリースを記念して、原宿・竹下通りで『RCサクセション&忌野清志郎 55th Celebration POP-UP STORE』を10月15日から26日まで開催する。カメラマンのおおくぼひさこ氏、有賀幹夫氏によるRCサクセションの迫力満点の写真の数々。忌野清志郎のプライベートスタジオ “ロックン・ロール研究所” をイメージした特設スペース。本人が書いた絵画やイラストの展示。鋤田正義氏、蜷川実花氏、佐内正史氏など9人の著名カメラマンによる忌野清志郎ポートレイトの共演など、ファンにはたまらない展示が満載だ。

さらに、11月26日には、RCサクセション大ブレイクの立役者、仲井戸麗市が1993年にリリースしたソロアルバム『DADA』のアナログが180g重量盤の最新リマスター2枚組仕様でリイシュー。本作は、1985年のアルバム『THE 仲井戸麗市 BOOK』でソロのシンガーソングライターとしての可能性を見出し、1991年のRCサクセション無期限活動休止状態を経た仲井戸麗市の豊潤な音楽性が開花した名盤である。

RCサクセションデビュー55周年という節目に『シングル・マン』のリイシュー、そしてPOP-UP STOREの開催。さらには仲井戸麗市の名盤『DADA』のリイシューという流れは、今も日本のロックの金字塔であり続けるRCサクセションの音楽が、ブレイク以前にどのように熟成され、さらには、活動休止以降、サウンドのキーマンであった仲井戸麗市がどのような形で自身の作品に反映させていったのかを知る好機ではないだろうか。


Information
RCサクセション&忌野清志郎 55th Celebration POP-UP STORE



▶︎ 開催場所:東京都渋谷区神宮前1-20-6(JR山手線 原宿駅竹下口 徒歩3分)
▶︎ 開催期間:2025年10月15日(水)~ 10月26日(日)
▶︎ 営業時間:11:00~20:00(最終入場19:30)
▶︎ 店舗情報:https://store-harajuku.universal-music.co.jp/

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2025.10.14
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カタリベ
1968年生まれ
本田隆
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