リリースから半世紀!「NIAGARA TRIANGLE Vol.1」 3月21日は、ナイアガラ・デイ。今年は1976年のリリースから実に半世紀を迎えた『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』が、50th Anniversary Editionとしてリリースされる。今回は、限定盤アナログレコード、CDとDVDの2枚組による通常盤CD、CD3枚+Blu-rayにブックレットと復刻ポスターが同梱されたボックスセットの3形態での発売になる。
完全限定盤のボックスセット『NIAGARA TRIANGLE Vol.1 VOX』のDisc-1は最新リマスタリングによるオリジナルアルバムの全曲に、シングルバージョンと初公開音源2曲を含むレアトラックを3曲収録。Disc-2にはレコーディングエンジニアの吉田保と大野邦彦による[1986 Re-Mix Version]が収められている。
Disc-3には1995年に大滝詠一自らがリミックスを施した[1995 Re-Mix Version]とカラオケ音源を収録。そして、Disc-4となるBlu-rayには、Disc-1~ Disc-3収録楽曲のハイレゾ・リマスタリング音源に加え、1976年のアルバム発売時にプロモーションの一環として制作された貴重な映像作品『Fussa 45 Studio Live 1976』が収録されるというから見逃せない。
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大滝詠一のナイアガラ・サウンドの集大成盤! ナイアガラレーベルのスタートはシュガー・ベイブ『SONGS』がリリースされた1975年4月から。続けざまに5月には大滝詠一『NIAGARA MOON』がエレックレコードからリリースされ、さらに6月からはラジオ関東(現:ラジオ日本)のプログラム『ゴー・ゴー・ナイアガラ』が始まっている。
番組の最初のゲストとして9月に迎えられたのが、伊藤銀次と山下達郎であった。それをきっかけに3人でのアルバム作りが構想され、ほどなく倒産したエレックレコードに替わって契約した日本コロムビアでのエレックレコード第1弾となったのが『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』だったのである。1976年3月25日発売。これはスタートであると同時に、1973年に始まったナイアガラ構想のひとつの帰結点でもあったと、後に大滝自身が語っている。たしかにオリジナル盤の帯の一文にも “大滝詠一のナイアガラ・サウンドの集大成盤!” と掲げられていた。
アルバムの着想は、米国のレーベル、コルピックス・レコードの3大スターだった、ジェームス・ダーレン、シェリー・フェブレー、ポール・ピーターセンのヒットシングルを中心に構成されたオムニバス盤『ティーンエイジ・トライアングル』から得たという。その根底には、御三家、三人娘、三羽烏など、古来から3で括る様式美を重んずる日本人ならではの感覚があったことだろう。大滝詠一、伊藤銀次、山下達郎という才能溢れる若いミュージシャンたちが自由なポップス作りに挑んだスーパーセッション・アルバムは、その後も時代を超えて、幅広い世代に愛されてゆくことになる。
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アルバムのリード曲は、シングルにもなった「幸せにさよなら」 『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』は山下達郎が書き下ろした「ドリーミング・デイ」で幕を開ける。1975年11月から始まったレコーディングでも最初に取り組まれた曲であった。まだ20代初頭だった山下が福生45スタジオへ通っていた2年半の間に習得したものを、もっともナイアガラ的に展開した作品である。
そして、シュガー・ベイブ『SONGS』には入らなかった「パレード」が続く。伊藤の作詞、山下の作曲による「遅すぎた別れ」は、もともとはコーラスグループのキングトーンズに向けて作られた曲。その時一緒に出来たのがあの名曲「DOWN TOWN」だった。ココナツ・バンク時代に伊藤が書いた代表的なナンバーである「日射病」「ココナツ・ホリデイ '76」までがLPのA面の収録曲になる。
LPにおけるB面の1曲目だったのがシングルにもなった「幸せにさよなら」。アルバムでは作者の伊藤によるソロボーカルだが、シングルでは大滝と山下のそれぞれのボーカルも編集され、3人が1小節ずつ交互に歌い分けている。ココナツ・バンク解散後の伊藤が再起をかけた自信作は大滝も高く評価し、加山雄三に歌わせようと担当ディレクターにテープを持ち込んだというエピソードもある。
実現には至らなかったが、ここでは伊藤パートの唯一の新曲として、アルバムのリード曲となっている。今回のボックスには、幻の音源だった「幸せにさよなら(山下&大滝ボーカルバージョン)」も収録される。その後は伊藤の「新無頼横丁」、山下の「フライング・キッド」を経て、大滝パートへ。『NIAGARA MOON』の「福生ストラット(パートⅡ)」を受けて作られた「FUSSA STRUT Part-1」は、細野晴臣と坂本龍一がレコーディングセッションで初顔合わせとなった作品らしい。
アルバムの締めくくりは、同年6月にシングルリリースもされた「ナイアガラ音頭」。普通ならその前の「夜明け前の浜辺」で穏やかに終わりそうなものなのだが、こういった曲をラストに持ってくる発想が突き抜けている。洋楽と純邦楽が奇跡的な融合を見せる稀有な傑作の「ナイアガラ音頭」。クセになる布谷文夫のボーカルが響き渡るこの曲の存在が『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』を比類なき名盤へと至らせる要素となったことは間違いない。
これ以降、音頭はナイアガラワールドに欠かせない格好の具材となり、ノベルティ感満載の次のアルバム『GO!GO!NIAGARA』にも影響をもたらすことになるのだった。
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2026.03.14