共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.48
You Belong To The City / Glenn Frey
アメリカを代表する国民的バンドだったイーグルスの実質的解散後、中心的なメンバーだったドン・ヘンリーとグレン・フライは、1982年以降ソロアーティストとして熾烈なヒット争いを繰り広げていた。
80年代ヒットチャート上におけるこの二人の最大ヒットは、ドン・ヘンリー「ダーティ・ラウンドリィ」(83年3位)、グレン・フライ「ヒート・イズ・オン」(85年2位)だったわけだが、グレンは85年にもう1曲ビルボードのシングルチャートで最高位2位の作品を残している。
それが80年代46番目に誕生したナンバー2ソング、「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ(You Belong To The City)」(85年11月2週2位)だ。
「ヒート・イズ・オン」はエディ・マーフィ主演の映画『ビバリーヒルズ・コップ』、「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」はドン・ジョンソン主演の米ドラマ『マイアミ・バイス』、それぞれサントラに提供した作品。奇しくもグレン・フライ史上最高位2位の最大ヒットとなった2曲は、刑事・警察もののサントラ絡みだったわけだ。
ということは「ヒート・イズ・オン」同様、「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」も、80年代の特徴的な事象だったサントラブーム、あるいは産業ロックムーブメントにうまく乗ったヒットソングであり、グレン・フライ・レパートリーの中ではコマーシャル色が強い異色の作品だったと言えるかもしれない。
それを踏まえると、日本での映画・ドラマの浸透度合いも影響したのだろうが、「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」は「ヒート・イズ・オン」に比較したら、派手さも抑え気味で楽曲の共有感も多少劣っている印象を抱く。ドン・ヘンリーの同時期のシングルで代表的なヒットソング「ボーイズ・オブ・サマー」(84年5位)の方が、「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」よりも共有感が高いのは間違いないだろう。
チャート実績ではグレンはドンを上回っているものの、それぞれのシングル楽曲の共有感を総合評価すれば、この二人の熾烈なヒット争いは、ほぼがっぷりよつの互角だったという結論に達する。イーグルス空中分解の要因のひとつともなったのが、二人の確執ともいわれているので、どなたかこの平和な結論をグレンとドンに伝えてくれないかな。
ちなみに「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」のトップ到達を阻んだのが、スターシップ「シスコはロックシティ(We Built This City)」(85年1位)。80年代を象徴するような典型的なエイティーズ・ヒットソングに、してやられたわけだ。
奇しくもタイトルに “City” が使用された80年代を代表するこの2曲の戦いは、スターシップに軍配が上がった。
2018.03.09
YouTube / Johann Christian 0710
YouTube / James Swaggot
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