洋楽ロックを紹介するトーク番組の制作スタッフを2年ほどやっていたことがある。一回の放送で3本のプロモーションビデオまたはライブ映像を紹介するのだが、毎週放送していたので1年で156本。放送局が海外の音楽出版社からたぶん年間200本近い映像を購入していたため、私はロックが生まれた1955年から1980年代までの貴重な映像を数多く観ることが出来た。
その数ある映像の中で、いまだに忘れられない映像がマーヴィン・ゲイの古いフィルムだ。
1984年の春、マーヴィンがに父親に銃で撃たれて死んだニュースをきっかけに聴いた「セクシャル・ヒーリング」しか知らなかったので、20代のマーヴィンが美しい声で青春を謳歌するように歌う姿に驚いてしまいました。でも、私を惹きつけたのはそのマーヴィン本人ではありません。その隣で彼とまるで恋人同士のように歌う美少女です。彼女の名前はタミー・テレルといいます。
マーヴィンとタミーが愛の言葉を互いに交わし合いながら徐々に気持ちを高めていき、二人の歌唱が感極まると一気に二人だけの世界へ…。そして、彼女の美しさ、可愛らしさをマーヴィンが引き出していきます。まるで自分がマーヴィンになってタミーと恋をしているような錯覚に陥り私は思わず何度も繰り返し再生して聴き入ってしまいました。
二人は実際には恋人同士ではなかったようですが、音楽を通じてプラトニックな感情を交換していたに違いありません。曲は「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」(1967年)。映画「天使にラブソングを2」のエンディングテーマと言えば分る人も多いと思います。ウーピー・ゴールドバーグとローリン・ヒルらが歌っていたあの曲です。是非、マーヴィンとタミーの純愛に触れてみて欲しい。
2015.12.23
YouTube / DocRewdySoul's channel
Information