フィギュアスケート四大陸選手権開催
まだまだ寒い日が続きますが、このシーズン、フィギュアスケートは盛り上がってますよ。四大陸選手権はいつもすごく寒い時期に観戦しているイメージです。
四大陸選手権は、アフリカ、アジア、アメリカ、オセアニアの選手で競われる大会です。ヨーロッパの選手がいないのは、別にヨーロッパ選手権という大会があり、そちらに参戦しているからです。
世界ランキングを構成するポイントが、多めに加算される大会は「オリンピック」「世界フィギュアスケート選手権」「ヨーロッパ選手権」「四大陸選手権」です。ただし、上記の大会のうち1大会分のみ加点、グランプリシリーズは大会加点は少なくなりますが、2大会分加点できるメリットはあります。今回行われる四大陸選手権は、そんなわけで世界ランキングのポイントを上げるためにも大切な大会となります。
ちなみに現在(2023年1月27日)の日本の男子シングル選手の世界ランキングは宇野昌磨選手が1位、鍵山優真選手は6位、他の選手がそのあと続きますが、実はなかなかの団子状態なので、羽生結弦君が抜けた後の日本の3番手は誰になる?―― というドキドキの展開です。そんな中の四大陸、出場選手の皆様には、がっつりポイントを獲得して3番手を狙って欲しいですね。
女装のフレディ・マーキュリーになりきった島田高志郎
さて、今日はこの四大陸選手権に出場する島田高志郎選手をご紹介させてください。
2022年12月に行われた全日本選手権では自己ベストを出し男子シングル2位で表彰台に立ちました。表現力が豊かで、手足が長〜い彼の演技は印象に残っているのではないでしょうか?
ショートの「シング・シング・シング」は流れるようなスウィング・ジャズ。フリーは「チャップリン・メドレー」で、彼の得意の表現力を活かしたまるで映画を観ているようなプログラムで… どちらもとっても素敵です。
そんな彼に2019年のNKH杯のエキジビションでクイーンの「ブレイク・フリー(自由への旅立ち)」を使ったプログラムがあったのをご存知でしょうか? ジュニアからシニアに転向して、世界のトップ選手と対戦し始めた年ですね。当初は「シニアに、また新しい選手きたーっ!」くらいにしか思っていなかったのですが、このエキジビションで名前をバッチリ覚えました。
フレディが被っていたようなカツラをかぶり、髭をつけ化粧をして、女装のフレディになりきって、つかみはバッチリですよ高志郎くん!
のびのびとした自由なスケーティングで観客を魅了
原曲の「ブレイク・フリー(自由への旅立ち)」は、クイーンのファンなら、みんな大好きな曲ですね。メンバー全員の女装の印象が強いですが、このPVの中程に出てくるバレエのパート部分の二ジンスキーの「牧神の午後」を模したシーンも圧倒ですね。「自由への賛歌」がフレディによって力強く歌い上げられる、まさに名曲。当時、中学生だった私はフレディが「自分は自分、誇らしく思って!」と、言ってくれているようで、他の人と自分を比較してしまう思春期を勇気付けてくれたものです。
島田高志郎選手ですが、きっとシニアに転向してなかなか思ったように滑れない日が続いたのではないかな? と、想像してみました。たくさんのレジェンドたちの演技を見て自分と比較して落ち込むこともあったのかも? と思いを巡らせてしまいます。
この2019年のエキジビションプログラムでは、クイーンPV風に女装フレディになりきった後、フレディ風のカツラと髭をとり、胸を張り、今度は堂々とした「島田高志郎」として歩き始めるシーンから始まります。
彼の持ち味である、長い手足を存分に活かしたのびのびとした自由なスケーティングで観客を魅了。笑顔もまだ、あどけなく愛らしいです。そして、だんだんと自信に満ち溢れ、テンポが速まるスケーティング、音楽に合わせたスピード感のあるスピンは観ていて気持ちが良いです。
そして、ラスト。拳を高く上げ「自分」の成長を誇るような圧倒のポーズでクロージングです。ジュニアから、シニアに転向したこんなはざまの時期だからこその初々しい決意表明のプログラムで、とても素敵でした。
彼は、今シーズン、さらに「自分らしさ」を前面に出してきたように思います。「ブレイク・フリー(自由への旅立ち)」のフレディの思いも彼のスケートの一部を構成しているのかもしれませんね。フレディもきっと彼を応援してくれていますよね。
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2023.02.11