「昭和歌謡復刻シリーズ」にグループサウンズが登場
1963年(昭和38年)に創立したクラウンレコード(現:日本クラウン)からリリースされた歌謡曲を復刻するプロジェクト『昭和歌謡復刻シリーズ』の第5弾が配信解禁されている。歌謡曲がミュージックシーンの中心的存在だった昭和40〜50年代の作品に焦点をあて、配信商品として復刻するアーカイブ企画。
今回はいよいよグループサウンズが登場だ。坂本竜彦「君 君 君」、ザ・レンジャーズ「赤く赤くハートが」、有馬竜之介「土曜日に集まれ!」など、レコードでもなかなかお目にかかれない全40作品。YouTubeチャンネル『昭和レトロ 歌謡秘宝館』では、配信解禁された全楽曲のオフィシャルオーディオ(公式試聴動画)が順次公開されるのも必見である。
“64年ミスター・クラウン” の称号でデビューした坂本竜彦
クラウンレコードがスタートした1963年は、日本コロムビアの舟木一夫が「高校三年生」をヒットさせたのをきっかけに、青春歌謡の人気が本格化した年。クラウンでも同年12月に山田太郎が、翌1964年2月には西郷輝彦がデビューして活躍を見せる。そんな中、1964年6月に “64年ミスター・クラウン” の称号でデビューしたのが坂本竜彦だった。
ただし、青春歌謡ではなくムード歌謡路線で、ルックスもかなり大人っぽい出で立ち。デビュー曲「君 君 君」からしてじっくりと歌い込んでいる。セカンドシングルの「戦場の野郎ども」は、8月に封切られた松竹映画の主題歌で、山本直純が音楽を担当していた。比較的落ち着いた曲調が続く中で、「東京でたったふたり」のカップリング曲「霧のスカイライン」はテンポのいいリズム歌謡。既に配信済みの浅野順子とのデュエット「ジェットライン」も快活なナンバーだった。
「拍手で送ろう」でデビューした進一彦
青春歌謡の歌い手のひとり、進一彦は1964年8月に「拍手で送ろう」でデビューした。続けて「右手に帽子を」「元気いっぱい」と、若さほとばしるナンバーを歌っている。同年11月の雑誌『明星』(現:Myojo / 集英社)の歌本では、本間千代子と共に表紙を飾っている。1965年には『俺たちの恋』『われら劣等生』などの映画にも出演して活躍を見せた。今回のラインナップ以前から既に配信されている曲に、柴山モモ子とのカップリングだった「あの娘は三番目」、水沢有美とのデュエット「君は四葉のクローバー」がある。
ほか、ソロ歌手では、コレクター垂涎のレア盤として知られる有馬竜之介「土曜日に集まれ! / ハートを狙い撃ち」と「僕の世界においでよ / 好きだよ」もラインナップされた。ソロでありながらもグルーヴィーでビートの効いた演奏とコーラスを交えて “ひとりGS” の様相を呈している。いずれも1969年のリリース。
米山正夫が手がけた「青春のある日に」で1970年11月にデビューしたジョニー丘は遅れてきた青春歌手といった趣き。第2弾の「登別慕情」もポップス演歌とでもいうような不思議な魅力に溢れた1曲である。
後年になって人気が高まったザ・プレイボーイ「シェビデビで行こう」
そしてグループサウンズ。良くも悪くも(今となっては全然悪くないが)クラウンはマイナーGSの宝庫である。1967年3月に「帰っておくれ」でデビューしたザ・プレイボーイのレコードはレア盤中のレア盤として有名だろう。第2弾「シェビデビで行こう」も当時はヒットに至らなかったが、GS研究家の故・黒沢進氏による再評価もあり、後年になって人気が高まった。第3弾「愛しのアンジェリータ / 恋をしようよ踊ろうよ」は歌謡曲のヒットメーカー星野哲郎の作詞で、なんともいえない予定不調和な感じが堪らない。
歌謡曲系の “CW” 品番に対して、ポップス系で新設された “PW” 品番の第1号となったのがザ・レンジャーズだった。泉アキ「恋はハートで」で演奏を務めた後、1967年10月に「星空の恋人」でデビュー。ザ・レインジャーズからザ・レンジャーズ名義となった第2弾「赤く赤くハートが」はマイナー系GS屈指の怪作として名高い。終始突き抜けている宮城ひろしのボーカルは必聴だ。
後年になって再評価されたクーガーズ
1967年10月に「テクテク天国」でデビューしたクーガーズも後年になって再評価されたバンドのひとつ。ソロ歌手だった倉光薫を中心に1966年に結成され、ソロデビューしていた出光功が加入して1967年10月にレコードデビューに至った。衣装のスカート姿が話題に。4枚目の「青い太陽」は小林幸子が主演した同名のテレビドラマの主題歌だった。
ザ・ターマイツは、シャープ・ファイブを脱退した前田旭を中心に結成され、山本リンダのバック・バンドとして活動していたザ・キャッツが前身。「お友達でいつまでも」は彼らの唯一のシングルとなった。
ブルージーンズは、国内のエレキブームを牽引した寺内タケシとブルージーンズが母体。リーダーの寺内が脱退した後にいくつかのメンバーチェンジを経て、ソロデビューもしていた田川譲二がリーダーとなった時期にクラウンから改めてレコードを出した。デビュー盤となった「マミー / 愛して」はいずれもGS作品には珍しく中村八大が作曲を手がけている。
リンガースの「恋はふりむかない」も阿久悠の作詞、三木たかしの作曲という、歌謡ポップス路線であった。歌謡曲とGSが融合していた時代の産物。実際に筒美京平や鈴木邦彦、橋本淳、なかにし礼といった作曲家や作詞家たちは、GSブームをきっかけに人気作家となっていったのである。今回の男性歌手&GS編のラインナップも昭和元禄前後の歌謡界の熱気が満ち溢れている。
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2026.06.24