2026年 3月11日

久保田利伸デビュー40周年!日本にブラックミュージックを根付かせた先駆者の軌跡(後編)

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久保田利伸のベストアルバム「THE BADDEST 〜Son of R&B〜」発売日
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久保田利伸が1986年にデビューしてから、今年で40周年を迎えた。日本におけるブラックミュージックの第一人者として、40年の間その地位が揺るぐことはなく、いまも後進たちからリスペクトを一身に受け続けている。そのヴィジュアルやパフォーマンスからは、現在63歳という年齢は信じられない。3月11日にはデビュー40周年を記念したベストアルバム『THE BADDEST 〜Son of R&B〜』のリリースが予定されている。1980年代を中心に紹介した前編続き、この後編では1990年代以降の活動を追っていこう。

ジョージ・クリントンらが参加したアルバム「BONGA WANGA」


久保田の音楽性は1990年代に入ると、よりマニアックに発展していく。アメリカ録音となった『BONGA WANGA』(1990年)は、飛行機の中で偶然出会ったというP-FUNKの総帥、ジョージ・クリントンらが参加。これまでになかったドロドロのファンクからアフリカンなコーラス、この時代らしいニュージャック・スウィングな曲まで、久保田の趣味的要素を強く反映した作りになった。



1991年の『KUBOJAH』は、レゲエをテーマにした企画要素の強い作品。1992年の『Neptune』は、久保田のポップスサイドをファンキーに表現したような親しみやすい作品。1993年にはフジテレビ系ドラマ『チャンス!』の主題歌となった名バラード「夢 with You」と「ふたりのオルケスタ」というシングルを2枚同時リリース。さらにベストアルバムの第2弾『the BADDEST Ⅱ』をリリースすると、1993年末にニューヨークへと居を移した。



「SUNSHINE, MOONLIGHT」で全米デビュー


久保田の渡米は全米デビューを見据えてのものだったが、渡米後最初の作品は、日本向けの『BUMPIN' VOYAGE』(1995年)となった。これは90年代の久保田の代名詞ともいえる日本ハムのシャウエッセンなどのCMソングやタイアップ曲が多めに収録された作品で、現地のミュージシャンたちと共にアメリカで録音されている。メンバーにはオマー・ハキム(ds)、ジェフ・ミロノフ(g)、ヴァーノン・リード(g)といった大物も加わっている。



そして、1995年9月、久保田は全米デビューを果たす。Toshi Kubota名義でリリースした全曲英語によるアルバム『SUNSHINE, MOONLIGHT』は、“トニー・トニー・トニー” 的なネオソウル感に、当時大ブレイク中のTLCのようなポップ感を加味した作品となった。ビル・ウィザースとグローヴァー・ワシントン・ジュニアのカバー曲「Just The Two of Us」は、ソウル Ⅱ ソウルのメンバーだったキャロン・ウィーラーとのデュエットとなっている。



アメリカでの活動は、2000年に『Nothing But Your Love』(ラッパーのPRASが参加)、2004年に『Time to Share』(モス・デフやアンジー・ストーンが参加)をリリースして終了する。あまり話題になることはなかったが、この時期に隆盛したネオソウル路線の作風で、作品のクオリティは高い。今だからこそ再評価を促したい。この全米での活動の間には、アンジー・ストーンと全米ツアーや、ソウルミュージックの伝統ともいえる全米ネットワーク番組『ソウル・トレイン』に日本人歌手として初めて出演していることも書き添えておこう。



「ロングバケーション」の主題歌になった「LA・LA・LA LOVE SONG」


日本での活動に話を戻そう。1996年には久保田にとって最大のシングルヒットが生まれている。そう、この「LA・LA・LA LOVE SONG」はフジテレビの月9枠で放送され社会現象となったドラマ『ロングバケーション』の主題歌となり、久保田にとって初のシングルチャート1位とダブルミリオンを達成。同じアパートメントに住んでいたというスーパーモデルのナオミ・キャンベルが英語で語りを聴かせている。歌い出しの部分は小田和正「ラブストーリーは突然に」、ホイットニー・ヒューストン「オールウェイズ・ラヴ・ユー」と並ぶミームのようになっている。



2000年にリリースされたアルバム『As One』はアメリカでの作風に近い、ネオソウル風の作品。2002年の『United Flow』もやはり同傾向の作品で、より日本向けの柔らかさがあるが、超スウィートな「Heaven?」のようなスロウジャムが収録されていて、久保田利伸にとってもっともソウル色が強い時期だといえるだろう。このアルバムでは日本のR&Bブームの立役者の1人で、久保田とはデビュー前からの知り合いであるというプロデューサーの松尾潔が歌詞を2曲提供している。



2002年の年末にはベストアルバム第3弾『the BADDEST Ⅲ』をリリース。2006年にはデビュー20周年を迎え、日本での10枚目となるアルバム『FOR REAL?』のリリースと共に、全国ツアー “WE FOR REAL”を実施。この頃までが最も濃厚にソウル / R&Bの色が出ていた時期で、R&Bとしての久保田を聴きたい人は、この時代の作品に注目していただきたい。



MISIAと凄まじいデュエットを聴かせる「FLYING EASY LOVING CRAZY」


前作から4年、アフロになった久保田が2010年にリリースした『Timeless Fly』は、KREVAとのコラボから生まれた「M☆A☆G☆I☆C」や、MISIAと凄まじいデュエットを聴かせる「FLYING EASY LOVING CRAZY」などを収録した、バラエティに富んだ作り。2011年の『Gold Skool』は、デビュー25周年記念作品。EXILE ATSUSHIとのデュエット曲「Golden Smile」や、井上陽水「海へ来なさい」のR&Bカヴァーなど、意外な楽曲もあり。



2013年にはパラレルワールド的作品の第2弾『KUBOSSA』をリリース。タイトル通りのボサノヴァ的な作品だ。2015年リリースの『L.O.K』は、この時代ならではのR&B表現とポップのハイブリッド的な作品。そして、アルバムとしては最新作となる2019年の『Beautiful People』は、R&Bはもちろん初期の雰囲気に戻ったようなポップな曲など、これまでのスタイルの集大成のような内容になっている。

そして、2025年、デビュー40周年を目前にしてベスト盤『the BADDEST Ⅳ & Timeless Hits』をリリース。ここまでのシングルなどをまとめて、40周年に突入する準備を整えた。2025年秋からは40周年記念ツアー “Big Up!” がスタート。今月末には、国立代々木競技場 第一体育館などでのアリーナツアーも予定されている。さらに、冒頭に書いたように『THE BADDEST〜Son of R&B~』というベスト盤も3月11日にリリースされる。これはR&B色の濃い楽曲を、久保田自身が入念にセレクトした内容になるようだ。

しかし、ファンが待っているのは新作のアルバムだ。現在、前作から5年とこれまでで最長のインターバルが開いている。日本のソウル / R&Bのトップアーティストの現在地を聴かせてくれる作品を期待している。

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2026.03.07
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カタリベ
1971年生まれ
池上尚志
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