パトリック・スウェイジと言えば、日本では「ゴースト」の印象が強いと思いますが、ブラジルでは「ダーティ・ダンシング」の主役を演じたことで有名です。
この映画がブラジルで上映された時、私は13歳。周りの大人っぽい女子たちとは違い、私は幼い、おとなしい、あまり目立たない地味な女の子でした。
そんな私のことが目障りだったのか、クラスで一番の目立ちたがり屋の女の子、トリシアは私を見る度に「おい、聖女!」と呼んで、小馬鹿にしていました。
映画館に「ダーティ・ダンシング」を観に行く機会はなかったのですが、ラジオから毎日のようにサウンドトラックの「タイム・オブ・マイ・ライフ」や「シーズ・ライク・ザ・ウィンド」が流れてきます。私はいつものようにマイ歌詞カードを作り、両曲ともほとんど暗譜できていました。
同じ頃、あるクラスメイトの誕生日パーティーに呼ばれ、当時流行っていた曲に合わせみんなで踊っていた時のことです。
トリシアは私が「タイム・オブ・マイ・ライフ」を口ずさんでいるのを見て、「何? 全部歌えるの?」と、少し驚いている様子。
パーティーの帰り際、「ねぇ、歌詞を書いてきて」とトリシアに頼まれたので、次の日に手書きの歌詞カードをあげると、「おぉ、ありがとう!」と喜んでくれました。それ以来、トリシアは私のことを「聖女」と呼ぶことがなくなり、時々、「ね、これ歌える? 歌詞知ってる?」と聞かれたりして、その度に私は彼女に歌詞カードを渡すのでした。
ただ、恥ずかしながらも、つい最近まで「タイム・オブ・マイ・ライフ」は「シーズ・ライク・ザ・ウィンド」同様、パトリック・スウェイジが歌っているものと思い込んでいましたが。。。
日本では「ダーティ・ダンシング」はマイナーかもしれませんが、アメリカでは、ブラック・アイド・ピーズが「タイム・オブ・マイ・ライフ」をカヴァーしたり、2011年の映画「ラブ・アゲイン」でエマ・ストーンとライアン・ゴズリングが「ダーティ・ダンシング」のラストシーンを再現したりしているほど有名です。
こんな思い出を抱えながら、今度、私が所属しているバンドのライブで「タイム・オブ・マイ・ライフ」を歌います。この曲を聴くと、パトリックのセクシーな踊りや表情を思い出すのです。もちろん、トリシアのことも。
The Time of My Life / Bill Medley and Jennifer Warnes
作詞・作曲:John DeNicola, Donald Markowitz, Franke Previte
プロデュース:Michael Lloyd
発売:1987年9月
2016.10.13
YouTube / CPhillips92
YouTube / BlackEyedPeasVEVO