強烈すぎる PV「ウィア・ノット・ゴナ・テイク・イット」
80年代の馬鹿ロックを語る上で僕としては絶対外せないのがトゥイステッド・シスターです。最初に音楽雑誌でメンバーの悪趣味な厚化粧と衣装を見て「こんな奇を衒ったルックスなのにアメリカでメジャーデビューして売れたってことは、きっと音がカッコいいに違いない!」。
で、リリースされたシングル「ウィア・ノット・ゴナ・テイク・イット」のPVをテレビで観て、このロックアンセムが収録されたサードアルバム『ステイ・ハングリー』を即買いました。その後、同アルバムからシングルカットされたアメリカンど演歌「ザ・プライス」も今だに心にしみます。
日本では X-RAY がカバー、邦題は「愛のヒーロー」
一方で当時の日本、関西出身のバンドを中心に盛り上がりを見せていた HR/HM シーン。デビューして1年ほどのハードロックバンド、X-RAY が「ウィア・ノット・ゴナ・テイク・イット」をカバーしました。が! 邦題は「愛のヒーロー」笑。サビは「♪ かーがーやーけヒーロー」笑。
いや僕は彼らのデビューアルバム持ってるし、当時はそれなりのバンドだったんです。彼らにとって初のシングルカットだったようですが周りの大人たちの仕業でしょうか、でも当時の日本の音楽シーンって総じてこんなもんだったような……。
時を経て、ベガルタ仙台のサポーターも歌う!
時を経て今、サッカーJリーグでは「♪ ベーガールータせぇ~んだぁ~い」と、サポーターがこの曲のサビのメロディーにのせて歌っています。同じ世代のマニアックなロックファンが関わっていたんだろうな、と懐かしいような不思議な感じです。ということで、日本では殆ど知られていないこのバンドのこの曲も、地味ながらこの国で細々と独自の展開をしたわけです。
ちなみにこの曲は一時期「トランプ大統領候補」のキャンペーンで使われていたようです。バンドの公式ウェブサイトによると、当初は容認していたものの、それが大論争に発展するに至ってバンド側から私的な会話の中で曲を使わないよう申し入れたところ、それ以降使われなくなった、とのこと。
バンドの新ドラマーは、ドリーム・シアターのマイク・ポートノイ!
さて、2016年にファイナルツアーを行ったこのバンド、オリジナルメンバーのドラマーが病死したため新ドラマーを加えてツアーを行ったのですが、そのドラマーが何と何と意表をついた元ドリーム・シアター~現ワイナリー・ドッグスのマイク・ポートノイ。
どう考えても馬鹿ロックのカテゴリーには収まらないドラマーです。どういう経緯でバンドに参加することになったかは分かりませんが、彼も僕と同世代、ひょっとすると高校生時代に「ウィア・ノット・ゴナ・テイク・イット」を聴いて虜になった一人だったとしたら何か親近感が湧きますね。
※2017年2月4日に掲載された記事をアップデート
2020.05.10