2005年 11月6日

本田美奈子.の想い「LIVE FOR LIFE」命を輝かせるために

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本田美奈子.さんが急性骨髄性白血病で亡くなった日。
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photo:LIVE FOR LIFE  

2005年11月6日、急性骨髄性白血病のため、38歳の若さで帰らぬ人となった本田美奈子.さん。難病を克服され再びステージに立たれていたら、今年50歳を迎えていた。

闘病生活を送る中で、再び元気な姿でステージに立つことが、同じように難病に苦しむ人の希望になると考え、難病患者を支援するための活動として『LIVE FOR LIFE』を立ち上げる。その彼女の遺志は遺族や友人、関係者によって今尚受け継がれ、毎年命日前後に彼女の追悼イベントが各地で行われている。

11月3日、今年も日本橋三井ホールで『2017 LIVE FOR LIFE「音楽彩」~本田美奈子.メモリアル~』が開催された。「大好きな音楽を通して、全ての人に生きる喜びと命の尊さを伝えていきたい」という彼女自身の想いを受け継いで、2008年にスタートした音楽イベントだ。

本田さんの13回忌にあたる今回は、坂本冬美さん、松本伊代さん、早見優さん、中村あゆみさん、森口博子さん、工藤夕貴さん、華原朋美さん、知念里奈さん、高橋みなみさん、宮沢和史さんらが参加。そして、10年間ずっと続けてこられた素晴らしいコンサートに、私も初めて参加させて頂いた。

美奈子さんの曲では「1986年のマリリン」が一番好きなのだが、85年デビューの同期である森口博子さんのパフォーマンスが、ダンスも完璧にコピーされていて圧巻だった。歌い終わった森口さんに感想を伝えたくて呼び止めようとした時、思わず、「美奈子さん!」と呼んでしまったほどだ。なんでも20代の頃、『ものまね紅白歌合戦』でMVPを獲得した思い出の曲だったそう。

私は自身のデビュー曲である「ねがいうた」と、アリアに初挑戦し、美奈子さんも歌っていたプッチーニの歌劇『ジャンニ・スキッキ』より「私のお父さん」を歌わせて頂いた。美奈子さんの歌唱音源を聴き、マリア・カラスや世界の歌姫が歌っているバージョンもチェックして沢山練習したけれど、もっと上手く歌いこなしたいと思う曲が、この出演をきっかけにまたひとつ増えた。これも美奈子さんが与えてくれた出会いだ。

私も数年前、末期癌で最愛の父を亡くし、愛する者を失う辛さと悲しみを知った。しかし、生きたいという望みを最後まで持ち、闘病を続けた父の姿から、命ある限り、夢や希望を忘れず、前向きに生きること、そして、生かされていることは奇跡なのだと学んだ。

今、美奈子さんが伝えたかった想いを受け継ぎ、白血病や難病と闘う方々、そのご家族、様々な困難と闘う全ての人達に、生きる事の大切さを伝え、生きる希望を与えられることを願って活動を続けている事務所の社長様をはじめ、関係者の皆様の姿に感銘を受け、心が震えた。

今年の彼女の誕生日に、偶然にも美奈子さんについての原稿を書き、勝手に運命を感じていた私。その後、メモリアルコンサートにも出演させて頂くことが決まり、コンサートの前日に、美奈子さんの故郷、埼玉県の朝霞市にある御墓にお参りと報告に行った。

お寺の近くには透明度の高い黒目川が流れていて、自然豊かなとても静かなところだった。天国にいる美奈子さんに心の中で語りかけていると、「私ももっと歌いたかった。だから私の分まで歌って。」という声が聞こえてきたような気がした。

そんな美奈子さんに、のど飴とお水をお供えして、隣駅の朝霞駅にある美奈子さんの記念碑にも足を運んだ。駅前のカラオケボックスで、コンサートで歌う曲を練習したりもした。美奈子さんが育った街で歌っていることがなんだか嬉しかった。

家族やファンだけでなく、スタッフや歌手仲間などからも、今も愛され続けている美奈子さんのことを心から尊敬している。そして、美奈子さんのことを深く知れば知るほど、ストイックで努力家なところや負けん気の強さなど、同じ歌手として惹かれている私。

11月6日は本田美奈子.さんの命日。こんな日に、彼女のことを考えながら原稿を書ける喜びを噛み締めている。

2017.11.12
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