クリスマスソングは星の数ほどあるというのに、どうして新年を祝う曲はないのだろう…… 不思議に思った僕は、しばらく考えた末に1組のアーティストの名前を思い出した。それはスウェーデンが生んだ世界的人気グループ、もちろんABBAのことだ。
スウェーデン出身のアーティストと言えば、僕より下の世代ならヨーロッパ、ロクセット、エイス・オブ・ベイス、カーディガンズといったアーティストを思い出すだろう。また、カーディガンズのプロデューサーであったトーレ・ヨハンソンが、BONNIE PINK、原田知世、カジヒデキなどのプロデュースを手掛けたこともあって、スウェディッシュポップ風のサウンドは日本の音楽ファンにも馴染み深いのではないかと思う。
しかし、70年代後半から80年代初頭にかけて、ABBAの人気はそんなものではなかった。それは、僕たち世代の人間なら誰もが記憶にあるはずだ。当時、ABBAは同じくスウェーデン出身でアルペンスキーW杯通算86勝のインゲマル・ステンマルクやウィンブルドン・シングルス5連覇のビヨン・ボルグと並び称されていたし、VOLVOに次いで外貨を獲得しているという伝説もあったほどだ。とにかく、スウェーデンの英雄であり一大輸出産業であったのは間違いない。
もちろん日本においても、ABBAの楽曲は四六時中至る所で流れていた。ラジオはもちろん、喫茶店やパチンコ屋の中、学校の休み時間とか、とにかく場所を選ばなかったから、洋楽を全く聴かない層にも認知されている稀有な存在だった。
それとディスコ。確か「ダンシング・クイーン」、「サマー・ナイト・シティ」、「ヴーレ・ヴー」、「ギミー!ギミー!ギミー!」などはディスコソングとして認識されていて、アラベスク、ザ・ドゥーリーズ、ノーランズと同じカテゴリに入れられていた記憶があるが、今思えば失礼な話かもしれない。
さて、ABBAの新年ソング「ハッピー・ニュー・イヤー」だが、80年にリリースされたアルバム『スーパー・トゥルーパー』に収録されている。シングル・ヒットした「ザ・ウィナー」や「スーパー・トゥルーパー」の陰に隠れた印象だったが、欧州の一部では新年の定番ソングとして浸透しているらしい。そこで、せっかくだし、透明感溢れるこの曲を聴いて、神聖な心持ちで新年を迎えるのも粋ではないかと…。
ということで、今年もどうぞ宜しくお願いします!
Happy New Year / ABBA
作詞・作曲:Benny Andersson, Björn Ulvaeus
プロデュース:Benny Andersson, Björn Ulvaeus
発売:1980年11月3日
アルバム『Super Trouper』に収録
脚注:
「Dancing Queen」(76年9月4日 全英1位、77年4月9日 全米1位)
「Summer Night City」(78年10月7日 全英5位)
「Voulez-Vous」(79年9月1日 全米80位)
「Gimme! Gimme! Gimme! 」(79年11月10日 全英3位)
「The Winner Takes It All」(80年8月2日 全英1位、81年3月14日 全米8位)
「Super Trouper」(80年11月29日 全英1位、81年5月23日 全米45位)
2017.01.02
YouTube / AbbaVEVO
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