80年代冬季五輪の人気者ジェーン・トービル&クリストファー・ディーン
80年代、特に前半の冬季オリンピックにおけるイギリスの人気者といえば圧倒的にアイスダンスのジェーン・トービルとクリストファー・ディーンのペアだった。
日本にとってフィギュアスケートは女子も男子も人気があるが、アイスダンスは目にする機会もオリンピックであればこそあるものの… という感じだろう。アイスダンスは通常のペアとは違い、リフトもジャンプもない。
アイスダンスの楽しむための、3つのポイント
じゃあ何を見るの? と言ったら二人の「息のあったステップ」と「振り付けの独創性」だと思う。そして、なによりも観るものを気持ちよくさせてくれるのは「音とのシンクロ」。その3つが抜群に秀でていたのがトービルとディーンのアイスダンスだった。
彼らが人気があったのは、もちろんその実力。そして、今でもなお国民の人気者としてテレビやリンクの上で活躍しているのは、二人の気さくなキャラクターもあるが、なによりもアーティストとアスリートの絶妙なさじ加減なのではないかなぁ… と思うのだ。
芸術、スポーツ、どちらの側面も素晴らしく、また片寄りすぎてない。そして妥協もない。一つ一つの技を見せつけるというより、一つのステージを作り上げているという感覚がとても眩しい。彼らの演技は競技であるのにも関わらず、失敗しませんように、という気持ちで見るのではなく、ずっとずっと見ていたいほど気持ちよいものであった。そして、永遠と続く海の波を見ているようでもあった。
ダンス曲はラヴェルの「ボレロ」1984年サラエボ冬季五輪で金メダル
彼らは1984年のサラエボ大会では金メダルをとり、そのダンス曲であったクラシック音楽であるラヴェルのボレロがヒットチャートをのぼった。このことは近年のインタビューでも彼らは当時を振り返り、驚いたことのひとつとして挙げていた。
ボレロといえばモーリス・ベジャールのバレエが有名だが、是非、トービルとディーンのアイスダンスも音とダンスのシンクロを楽しめるので、おすすめですよ。ちなみにジャッジ全員が6.0の満点を芸術点においてつけたのはオリンピック史上彼らのこの演技にだけなのだとか
余談だが、素晴らしいダンスを「キレッキレ」と表する昨今だが、ダンスとはキレだけではないのよ。色々見て、ダンスのおもしろさ、魅力にとりつかれる人がどんどん増えれば良いなぁ。
※2018年2月20日に掲載された記事をアップデート
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2022.02.14
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