3月20日

91年生まれの僕と「トミーの再現ライブ盤」ジャケ買いの有意義な失敗

18
2
 
 この日何の日? 
ザ・フーのライヴアルバム「ジョイン・トゥギャザー」がリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1990年のコラム 
CM女王・小泉今日子の面目躍如「見逃してくれよ!」は日本のランチタイムを変えたか?

ポール・マッカートニー初来日公演、ビートルズ以来24年ぶり!

日本が誇るポップマエストロ、高野寛のロックスピリットを感じろ!

薬師丸ひろ子【80年代アイドルの90年代サバイバル】語られる機会が少ない平成期の音楽活動

高橋幸宏「大人の純愛三部作」にみる J-POP のテーマと歌詞

ラジオ番組の中島みゆき ~そっと肩をたたいてくれる心優しき友~

もっとみる≫



photo:vinylcorner  

CDはネットで内容を調べたから買う。そんな習慣がついたのはいつ頃からだろうか。確かに便利ではある。「失敗」がないからだ。それがどのような作品か、あらかじめ分かるので、「買うべき作品かそうでないか」を、知ることができるのだ。

僕がザ・フーにどっぷりであった中学生の時、まだ渋谷のタワーレコードの彼らの棚には、地元のCDショップでは見慣れない作品が並んでいた。そして、溜め込んだお小遣いを握りしめ、「我が聖堂」であるタワーレコードに期待とともに赴く。せっかく聖堂に足を運んだのだ。自然と地元の店にはない、タワーレコードにしかないものを買おうとする。

そして、14歳の僕は賭けをする。敢えて見慣れないジャケットのアルバムを買うのだ。黄色い袋を後生大事に抱え、家に帰りプレイヤーにかける。そして博奕の才がない僕は、大抵「失敗」していた。DVDの音を、そのまま録音したようなものが多かったと記憶している。まだそういった点がおおらかであった、最後の時代だ。

僕も「失敗」も数を重ねると、意地が出てくる。僕は「失敗」を認めまいとする。つまり、なんとしてでも買ったアルバムを「好きになってやる」という思いが強くなるのだ。そんな思いで聴いたのが、ザ・フーの『ジョイン・トゥギャザー』だ。このアルバムは、グループの結成25周年を記念し何度目かの再結成をした彼らが、ホーンセクションやコーラスを引きつれ1969年の名作『トミー』を再現したライブを収めたものだ。

なかなか悪いものではないことは確かだ。しかし、この外連味たっぷりな演出を味わえる余裕は中学生の僕にはなかったのだ。けれども面白いもので、何度も聴くことで印象は変わってきた。淡白な印象であった『トミー』の世界が、実はこのような派手なものを意識して作られていたのではないかと、再認識するに至ったのだ。

ケン・ラッセルの映画版にしても、あの「ゴテゴテ感」こそ『トミー』なのかも知れない。これは、「失敗」から生まれた発見であった。そしてこんな「有意義な失敗」は、もう過去の話かと思うと、ふと寂しくも思うのだった。

2017.01.13
18
  YouTube / fcarcena01
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。


おすすめのボイス≫
1991年生まれ
 白石・しゅーげ
>宮木さま
コメント、ありがとうございます。このヴァージョンが初めてだったのですね! 
貴重なご体験ですね! 確かに69年のヴァージョンは、これと比べるとスカスカした感じがあります。笑
2017/01/13 22:33
1
返信
1965年生まれ
宮木 宣嗣
僕はこのアルバムで初めてTOMMYを聴き、TOMMYが大好きになりました。
今でもこのヴァージョンが一番好きです。
その後オリジナルを聞いて地味だなと思いました(笑)
2017/01/13 13:38
1
返信
カタリベ
1991年生まれ
 白石・しゅーげ
コラムリスト≫
71
1
9
8
5
ボウイ×ライヴエイド~大トリで歌った「バンド・エイド」の例の曲
カタリベ / 宮木 宣嗣
31
1
9
8
0
鳴り響くロックンロール!ピート・タウンゼントのステップは止まらない
カタリベ / 宮井 章裕
8
1
9
8
6
どちらも生真面目!? PiLとスタカンは似てない双子か他人のそら似
カタリベ / ジャン・タリメー
13
1
9
8
3
単なるデモ音源にあらず。やっぱり天才!ピート・タウンゼント
カタリベ / DR.ENO
16
1
9
8
3
長く暑い夏、東京の酷暑を乗り切るためのスタイル・カウンシル活用法
カタリベ / ソウマ マナブ
33
1
9
9
0
多面体 福山雅治の音楽バックボーンといつまでも消えないロックンロールの灯!
カタリベ / 本田 隆