11月5日

林哲司が作曲したシティポップ・ランキング 〜 女性アーティスト編

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JASRACの検索結果は1,400件以上!


コンポーザー “林哲司” という名前を認識したのは、杉山清貴&オメガトライブや菊池桃子のヒット曲でその名前を目にするようになったのがきっかけだったと思います。しかし、個人的にニューミュージック系のアーティストが好きだったので、職業作家の楽曲に関してはこだわらずにいろいろな曲を聴いてきました。

JASRACで “林哲司” を検索したら1,400曲以上の楽曲がヒットしたので、これまで無意識に多くの林哲司の楽曲を聴いてきたのかもしれませんね。先日リマインダーで、荻野目洋子のアルバム『ラズベリーの風』についてコラムを書かせていただいたのですが(『荻野目洋子「ラズベリーの風」ドライブにピッタリ!作家陣もトップアーティスト集結』を参照)、「涙しか見えない」という名曲が実は林哲司の曲だったということを改めて知ったので、他にも無意識に気に入っている曲がたくさんありそうな気がします。

女性アーティストが歌う林哲司のシティポップ


さて今回、「林哲司が作曲したシティポップ・ランキング 〜 女性アーティスト編」を選ぶのですが、1,400曲以上の楽曲の中からセレクトしなければいけないのでかなり悩みました(笑)。ということで、セレクトするにあたって自分の中で勝手に縛りを設けて選曲してみました。

1 女性アーティストによるボーカルであること
2 林哲司の作曲と知らなかったのに好きになった曲
3 オリジナル音源がSpotifyで配信されていること

… という3つの条件で選曲してみました。杉山清貴&オメガトライブや、稲垣潤一の楽曲の中でも好きな曲はたくさんあるし、林哲司が全曲手掛けた、児島未散のファーストアルバム『BEST FRIEND』も大好きなアルバムです。まあそれだけ多くの名曲があるわけですから、誰がセレクトしても同じような選曲にはならないのではないかと思います。それでは、独断と偏見による(?)林哲司ソング10曲をお楽しみください。


第10位:YOU ARE NOT ALONE / 杏里(1983年)




作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司(アルバム『Timely!!』より)
昨今のシティポップブームで80年代のアルバムが再ブームになっている杏里ですが、1位を獲得したアルバム『Timely!!』にも林哲司作品が収録されています。ご存じ大ヒット曲「悲しみがとまらない I CAN'T STOP THE LONELINESS」は皆さんご存じだと思いますが、このアルバムにはもう1曲林哲司作品が収録されているのです。それは「YOU ARE NOT ALONE」というバラードです。個人的に数ある杏里のバラード曲の中でも上位に食い込む1曲です。今後、“林哲司バラード集”のような企画があったら是非収録して欲しい曲です。

第9位:銀色のオートバイ / 松田聖子(1984年)


作詞:松本隆、作曲:林哲司、編曲:戸塚修(アルバム『Windy Shadow』より)
林哲司は松田聖子に6曲の楽曲を提供していますが、その中でも特に好きなのがこの「銀色のオートバイ」です。聖子の林哲司ソングはすべてアルバム収録曲なので、そこまで印象が強くないと思いますが、80年代の聖子の楽曲はアルバム曲も人気が高いので、意外に知られている1曲だと思います。真面目な彼氏から逃れて、革のつなぎを着て銀色のオートバイでエスケイプする主人公は、聖子の本質を歌っているようでどこかしっくりくるんですよね(笑)。

第8位:涙の形のイヤリング / 中森明菜(1984年)




作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:林哲司
中森明菜の大ヒット曲「北ウィング」は林哲司の作曲、編曲で、みなさんご存じの有名曲なのですが、今回セレクトしたのは「北ウィング」のB面に収録された「涙の形のイヤリング」です。渋谷にあるMUSIC BAR 45でレコードをかけるイベント『歌謡曲Very Much』に出演した時に、林哲司特集をやったことがあるのですが、その時に選盤していてこの曲の素晴らしさを知ったのでした。ですから、この曲はリアルタイムで認識していなかった曲だったのです。このシングルは途中でB面が「リ・フ・レ・イ・ン」に変更されているので、自分の持っているシングルが「リ・フ・レ・イ・ン」盤だったのが原因だと思います。中森明菜が軽やかに歌うシティポップサウンドを是非チェックしてみて下さい。

第7位:サヨナラは私のために / 松本伊代(1987年)


作詞:川村真澄、作曲:林哲司、編曲:船山基紀
松本伊代の “サヨナラ3部作” “恋愛3部作” と呼ばれる「信じ方を教えて」「サヨナラは私のために」「思い出をきれいにしないで」で、伊代ちゃんは大人への階段を上がったのではないでしょうか? 当時は林哲司の作品だと意識していませんでしたが、しみじみ素晴らしい作品だと思います。1987年に発売されたアルバム『風のように』は全曲・林哲司の作曲なので、アルバムのほうも是非この機会に聴いてみて下さい。もちろんこの3部作も収録されています。

第6位:もう海には帰れない / イルカ(1985年)


作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:林哲司
意外に思われるかもしれませんが、かつてイルカと林哲司のコラボレーションがあったのをご存じでしょうか? 林哲司がプロデュースしたアルバム『Heart Land』はイルカ×シティポップサウンドの作品なのです。この曲はアルバムからの先行シングルで、「とにかく素晴らしい」の一言で、菊池桃子の「卒業-GRADUATION-」と並ぶ名バラードだと思います。アルバムのトラックだけ聴いていると、オメガトライブや菊池桃子が歌っても何の違和感もないサウンドです。

第5位:デビュー〜Fly Me To Love / 河合奈保子(1985年)




作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、編曲:鷺巣詩郎
多くの名曲を世に送り出して来た河合奈保子ですが、僕はとにかくこの曲が断トツで好きです。21枚目のシングルにして初の1位を獲得したという曲でもあり、チャートマニアだった自分にとってはとても嬉しかったのを思い出します。林哲司の作るメロディーは、夏をテーマにした明るいテーマの曲だとしても、一瞬翳りを見せる切ない部分がたまりません。この曲を聴いていると、ドローンで南の島を見下ろしているような気持ちになります。

第4位:卒業-GRADUATION- / 菊池桃子(1985年)


作詞:秋元康、作曲:林哲司、編曲:林哲司
昨今のシティポップブームで、RA MU(ラ・ムー)をはじめとする楽曲が海外からも注目されている菊池桃子ですが、この曲がヒットした1985年に自分は高校を卒業するタイミングだったので、しみじみとした気持ちで聴いたものです。ちなみに、この時期「卒業」というタイトルの曲が同時にチャートインしていて、菊池桃子、斉藤由貴、尾崎豊、倉沢淳美の4曲が同時にTOP20入りするという珍チャートが生まれました。この曲はそこまでシティポップ的アプローチではありませんが、林哲司の名バラードということでセレクトさせていただきました。

第3位:パッシング・スルー / 和田加奈子(1985年)




作詞:及川眠子(補作詞:秋元康)、作曲:林哲司、編曲:林哲司
1985年にTBSラジオでやっていたユーミンのレギュラー番組『ユーミンのおしゃまします』を毎週土曜日の深夜に聴いていたのですが、この番組のスポンサーが三菱ミニカでした。番組内でミニカのCMのマスコットソングを募集していて、そのマスコットソングに起用されたのが、和田加奈子の「パッシング・スルー」という曲でした。このマスコットソングは作詞を募集していて、及川眠子が見事採用され作詞家デビューを飾りました。審査員の中にはユーミンもいたと記憶しています。一度聴いただけでかなり好きになった曲でしたが、林哲司作品だと認識したのはかなり後のことでした。夜のドライブに最適な名曲です。

第2位:イチゴの誘惑 / 竹内まりや(1981年)




作詞:松本隆、作曲:林哲司、編曲:林哲司
林哲司の初期の提供曲に、竹内まりやの『SEPTEMBER』(1979年)があります。しかし、僕にとっての竹内まりやの推し曲は『イチゴの誘惑』です。オリコンの最高位は80位だったので、広く知られている曲ではないのですが、オールディーズ風のアレンジでとても気に入っている1曲です。ちなみに1980年に発売されたシングル『ふたりのバカンス』も林哲司の作・編曲です。

第1位:真夜中のドア~Stay With Me / 松原みき(1979年)


作詞:三浦徳子、作曲:林哲司、編曲:林哲司
この曲が発売されたのは1979年で、当時僕は小学6年生でした。しかし、まだ小学生の自分でもこの曲の素晴らしさや切なさのような感情は理解していたと思います。林哲司のサウンドは洋楽のエッセンスたっぷりですが、メロディーラインは日本人の琴線に触れる切なさが最大の魅力だと思います。昨今のシティポップブームで海外からの視線が熱いこの曲ですが、Spotifyの再生回数だけで1億回超えています。ここで今さら魅力を語る必要のない名曲です。


―― ということで、「林哲司が作曲したシティポップ・ランキング 〜 女性アーティスト編」というテーマで10曲セレクトさせていただきましたがいかがだったでしょうか? 無造作に選曲していて気付いたのですが10曲中、7曲が林哲司アレンジでした。おそらく林アレンジの楽曲は多いのだと思いますが、楽曲だけでなくアレンジの素晴らしさも林ワールドの特徴なのかもしれませんね。

昨今のシティポップブームで再評価の高い林哲司の作品ですが、音楽ファンの一人として大変喜ばしいことです。2020年に発売された松城ゆきののアルバム『Le Premier Pas』は林哲司プロデュースですが、今回ご紹介した松本伊代の「サヨナラは私のために」のカヴァーも収録されていますので、是非チェックしてみて下さいね。こちらもとても良いアルバムですよ。

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2022.08.20
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カタリベ
1967年生まれ
長井英治
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