中学生時代、「メタル友達」とドはまりしていたドイツ出身のヘヴィメタルバンド、アクセプト。5thアルバム『ボールズ・トゥ・ザ・ウォール』(83年)で我々の支持は確固たるものになりました。
「ボールズ・トゥ・ザ・ウォール」というのはパイロット用語でボール(のついたギア)を壁に押しつけるくらいフルスロットル、いわゆる「全速力で」という意味のスラングなんですが、タイトルチューンのミュージックビデオがこれまた凄いインパクト。
壁に向かって一列になってヘッドバンギングする若者たちの映像や鉄球で建物を壊すという、日本人であれば浅間山荘事件のニュース映像を思い出してしまいそうなシーンで、なんともベタベタ!
曲の合い間に入る男声コーラス「God Bless Ya!」も男臭さ満開です(同アルバム収録曲「ロンドン・レザーボーイズ」というタイトルも男臭さ満開!)。
さらに次作『メタル・ハート』(ツボを得たタイトル!84年発表)冒頭の表題曲ではイントロにチャイコフスキーの「スラヴ行進曲」、ギターソロにベートーヴェンの「エリーゼのために」を引用するというメタル界においてはベタだけど王道な戦法を用い成功。「めっちゃるは~」という独特の発音も味わいがあります。
そして遂に来日公演が実現。当然、大阪フェスティバルホールに乗り込みました。当時自分の中では前年のジューダス・プリーストの来日公演『背徳の掟ツアー』が最高峰、「これを超えるライヴはしばらく目にすることはないだろう」と思ってましたが、あっさり超えちゃいました。
フライングVを手に長髪を靡かせヘッドバンキングしながら演奏する二人のギタリストの間をのそのそと歩きながらダミ声ハイトーンヴォイスでシャウトするずんぐり小男のウド。
異様な光景ではありましたが、それがある種の様式美になっていました。なんだかウド、可愛らしい。そして観客の反応が凄い。野太い声でフェスティバル・ホールに轟く男たちの合唱!圧巻でした。
私の前にいた長髪のお兄さんは終始ハイトーンで合唱していて終演のころには声が掠れてゼェゼェ言ってへたりこんでました。
この大阪公演はのちにライヴ盤『ステイング・ア・ライフ』として発売されましたのでそれを聴いていただければ、アーティストと観客が一体となった素晴らしいライヴだったことがご理解いただけると思います。この来日公演によって日本での人気も上昇、メタル雑誌(アレです)でも表紙を飾りました。
世界的な人気も得たアクセプトはこの後、1枚のアルバムを出した後、ウドが脱退します。この時点で私にとってのアクセプトは終わりました。アルバムの内容はどうあれ、あの強烈な個性のウドのいない「アクセプト」は私にとって「アクセプト」ではないのです。
キャラ的にはエディのいないアイアン・メイデンのようなもの。そう、ウドはヴォーカリストであると同時に生身のバンドキャラクターだったんですねえ。
2017.09.01
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