80年代前半、小中学校をイギリスで過ごしていたので、洋楽はTOP OF THE POPS。ラジオはRadio1のジミー・サヴィルのどうしようもなくヨレたDJ。
日本に帰国して洋楽を聴くとなったとき、アメリカのカラッとしたサウンドに違和感を感じたことを思い出す。
イギリスでもアメリカの音楽はたくさん耳にすることがあったけれど、改めて日本はヨーロッパよりアメリカよりだな、というのを音楽から実感する日々だった。もちろん一概には言えないのは百も承知だが。
そういえば、日本へ帰国した数年後、父が次の赴任先(単身)のアメリカから帰国した時の洋服の色の鮮やかさも目に染みるほどまぶしかった。Guessのシャツなどたくさんお土産に貰ったけれど、非おしゃれ女の私には本当に革命だった。
大学1年生の夏休みが明けてそのシャツを着て学校に行ったら、「彼女は服が増えたんだね」とクラスの男子が話してたらしい。とほほ。
数年… どころか何十年も経った今、英米の対比は私の中の陰と陽のように存在していることに気づく。
例えば、ティアーズ・フォー・フィアーズ、デヴィッド・ボウイ、オシャレなのに自分の内側にぐわ〜〜んと入り込む!(笑)すごくイギリスっぽい。
一方、ブルース・スプリングスティーンなどのアメリカンロックも内側に入るものの、それ以上に発散している。おしゃれというかアピアレンスの方向も違う。
イギリス人のロックは革ジャンでアメリカ人のはジーパン。勝手な妄想と分析が膨らむ。で、なんでこんな話になったかと言うと、
ELO - Electric Light Orchestra / Calling America
私は彼らがずっとアメリカ人だと思っていた。なんてこったい。彼らはイギリス人である。そうだよ、なんで気づかなかったんだろう。
ELOは産業革命の頃に発展を遂げた工業都市、バーミンガム出身。神奈川出身の私としては首都ではないけど頑張っている都市ということで、なんとなくバーミンガムなんていうと「きゅん」とする。因みにデュラン・デュランもバーミンガム出身。
そもそも「コーリング・アメリカ」ってアメリカへ電話をかける歌じゃないのよ!
アメリカって素晴らしいところらしい、と聞いて飛行機に飛び乗り、出かけた彼女。そして新天地で遊び回っているのか、まったく電話しても通じない。そんな彼女へのちょっとした文句を込めたラブレターだ。
すでに振られちゃってるかもしれない。けれど、いや、だとしたらなおさら、負け惜しみだとしても、こんな歌を彼女に送れたらかっこいい、というか、かわいい。というかちょっとふざけてる(笑)。
そして、シリアスさを笑ってしまえるところがELO ー ジェフ・リンのつかみ所のなさやノスタルジックさにつながっているのかもしれない。誰かや何かに夢中になっているようで誰のものでもない。そんな感覚のある人。
だから、この曲を聴いていると、カップルが向かいあいながら互いを見ているようで、それぞれの視線を捕まえられないであたふたしたり、その微妙な距離感を楽しんでいるくせにため息をついているような絶妙なバランスが楽しい。
プロモーションビデオもちょっと近代的で不思議だった。Google Earth 的な映像もあって驚く。撮影場所がパリだからか、新しいものと古い歴史の対比もおもしろい。
一曲を通して、新しいんだけれど、ノスタルジック。でも、ファンタジーよりも現実的な体温を感じる。そう、私の大抵の毎日がそうであるように。
2016.06.28
AppleMusic
Information