歌詞に女性の名前が入っている曲といえば、サザンオールスターズの「いとしのエリー」、「チャコの海岸物語」。カラオケでは「心から好きだよ、みーほ~♪」などと名前を変えて歌って盛り上げている男子が必ずいましたよね。他に名前が入った歌といえば、長渕剛の「順子」。エリーちゃんやチャコちゃんは友だちの中にそうそういませんが、順子ちゃんならひとりぐらい思い当たる人もいるのでは?
大学のサークルの友達にも「順子」がいまして、いつもニコニコしている小柄で可愛い女の子でした。先輩、同期、男女問わず愛されキャラでしたから、飲み会の後のカラオケでは、例外なく1回はこの曲で「お~ 順子!」と大合唱です。
中でも同期のYくんがこの曲のお気に入りで、よく、酔っぱらいながら絶叫していました。あとから “Yくんが順ちゃんを大好きで、でも片思い” という絵に描いたような理由があったことが発覚したのですが。
体育会系Yくんは、女性に対して器用なアプローチができるほうではなかったので、確かに「やさしさはいつも僕の前でカラカラから回り」してました。“しつこいよぉ~” とニコニコ顔で軽く避けられていた場面がよみがえります。
それから数年、ふたりはめでたくゴールイン! 今ではひともうらやむ仲良し夫婦です。相変わらず “しつこい” らしいのですが、絶叫するほど今でも大好きなんでしょうね。
実は、長渕剛が歌う「順子」を、このコラムを書くときにはじめてじっくり聞きました。リリースされたのが1980年ですから当時は小学校1年生。さすがにこの曲が好きという渋い小学生はなかなかいません。わたしが知っている「順子」は、カラオケで絶叫しているYくんの歌声。思いっきり失恋の曲ですが、学生時代のほんわかした幸せが詰まっています。
ちなみに長渕剛の順子さんは、実際に実在していて、小学校2年の時に思いを馳せていた女の子で、大人になってから奇跡の再開を果たし、この曲が出来上がったそうです。
2016.11.21
YouTube / TSUYOSHI NAGABUCHI
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