2年間のアシスタント(AD)生活を終えディレクターに昇格した一年目。東京から地方局に転属する辞令が出てちょっとナーバスになっていたが、たった一人で番組の1コーナーを作り上げることができる喜びは一年生ディレクターにとってはとても大きなものだった。
そんなある日の事、私はロケ取材から放送局へと戻りエスカレーターに乗ろうとしたが、足元を見ると何やら観たことのない白い生物がいる。その姿は両の手に小さなハサミを持ち、まるで戦車の砲塔のように前方に持ち上げられた針のある尻尾。カサカサカサッ!という音と共に私の方に向かってきた。あっと後ずさる隙に恐ろしい速さで生物は床を這い消え去って行った。
この辺りには変わった生き物がいるものだと思い、同僚に話したところ、翌日プロデューサーから「一週間休んでいいよ!」と。「え?なぜですか?」と言うと「このところ忙しくしてたからな。」などと言っている。結局、「アイツ、幻覚見たらしいぜ!白いサソリだってさ(嘲笑)」という噂が広がって私は思いがけず休日を強要されたということらしかった。
「白いサソリを見た男」→「白いワニを見たギャグ漫画家」→「ストレスからくる幻覚」→「首を切る訳にはいかないから様子を見よう」→「一週間の休暇」
まあ、そんな流れだろう。これでは原稿の締め切りに追われてノイローゼにかかり、白いワニが襲ってくる幻覚を見てしまったという某漫画家とまるで同じ扱いである。首を切られなかった分、マシと言えばマシか。そう考え直すと東京に向かう新幹線で憂鬱になっていた気分が一気に晴れていった。
神様のいたずらと思えばすむこと
成り行きに身をまかせてみてもいいでしょ
Stop! Stop! ひばりくん
Stop! Stop! ひばりくん
おッ! とッ! とッ!
ひばりくんッ!!!
ストップ!! ひばりくん!
作詞:伊藤アキラ
作曲:小林泉美
発売:1983年(昭和58年)7月
2016.03.07
YouTube/rokkakei2j
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