アイドルがテーマになった魔法少女もの「クリィミーマミ」
太田貴子のLPを持っている。その名も、『CREAMY TAKAKO』。アニメ『魔法の天使 クリィミーマミ』で使われたOPやED、挿入歌が収録されている。大学生の頃買ったもので、当時のアルバイト先の歌謡曲バーでDJをする機会があるときはよくお世話になったお気に入りの1枚である。
10代の頃、はじめてクリィミーマミのビジュアルを見たときにあまりのかわいさにハートを奪われてしまった。マミ色(ラベンダー)のリュックやサブバッグに、マミの缶バッジをつけて通学していた。
『魔法の天使 クリィミーマミ』は子供の頃、わたしが見ていた『おジャ魔女どれみ』や『プリキュア』や『セーラームーン』とはデザインも世界観も一味違った。変身後の “マミ” は大人っぽくて、魅惑的で、どこか洒落ていたし、アイドルがテーマになった魔法少女もの、という設定も新鮮だった。
アイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL 2021」にも登場予定!
変身アイテムなどにはピンク色が使われていたり、ステッキにハートがついていたりはするものの、変身後の衣装に派手なリボンやハートの装飾は一切ない。大胆かつシンプルな袖のフリルのついた黄色のドレス。むしろ、これくらい洗練されたビジュアルの魔法少女には、この先出会えないのではないかと思う。
マミの特徴のラベンダー色の髪の毛は、聖子ちゃんカットのようふわふわのボブ。黄緑色のアイシャドウに、リップが艶めく。(こういうお姉さんになりたいなぁ…)と放送後37年が経った今観ても、ほれぼれしてしまうビジュアルである。
しかも、2021年の10月1~3日に開催されるアイドルフェス『TOKYO IDOL FESTIVAL 2021』のオンラインステージ「バーチャルTIF」に登場するというから驚きだ。いよいよ私たちの目の前に本当にクリィミーマミが舞い降りるらしい。
マミが授かった歌にしてオープニングテーマ「デリケートに好きして」
作品の中でマミは、変身後の姿を芸能プロダクションにスカウトされ、急遽、別のアイドルの代役としてステージに立ち、魔法の力で歌を授かってアイドルデビューを飾る。その曲こそが、オープニングテーマにもなっている「デリケートに好きして」である。
劇中では、マミが歌うと画面上に光がみちあふれ、それを見ている人たちはマミの虜になってしまう。優の幼馴染であり想い人である俊夫もマミに夢中だ。
そんな俊夫を見て、マミの変身前の姿である優はなんだか面白くない。自分の姿でありながら、自分の姿でない “マミ” にデレデレの彼に嫉妬しているのである。この奇妙な三角関係は、魔法のコンパクトがなくたって起こりうることを象徴的に表しているといえる。ありのままの自分を好きになってほしいという気持ちと、自分にとっての理想像を好きになってほしい気持ちは、せめぎ合うものである。
ちょっぴりドジでおしゃまな自分もゆるしてほしいし、よそいきでめいっぱいおめかしして心を揺さぶりたい時もある。欲望に正直になるとするならば、そのどちらも手に入れたい。そう、その揺らぐほどに面倒くさい心こそ、
そうよ女の子のハートは
七色に光る虹のように
風が吹くだけでも変わる
デリケートに好きして
デリケートに好きして
好きして
好きして
… というわけである。
平成世代のヒロイン、アナ雪のエルサは「♪ありの~ままの~」と歌いながら大変身をするが、“パムポップン” で別人みたいになれる魔法だって悪くないと思うのだ。どちらもまた、“優” であり、“マミ” なのだから。デリケートに好きして、と言いながらわがままに両方愛されたい。
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2021.09.15