突然のイメージチェンジや新キャラクターで世間をざわつかせる女、それが小柳ルミ子だ。40代後半以上の人なら、80年代初頭の路線変更を覚えているだろう。「瀬戸の花嫁」「わたしの城下町」など、叙情派ポップスを歌う70年代の清楚なイメージから、突如、妖艶セクシー路線に舵を切ったルミ子。1983年には、今も多くのスナックで歌われている「お久しぶりね」を大ヒットさせた。
お久しぶりね あなたに会うなんて
あれから何年経ったのかしら
少しは私も 大人になったでしょう
あなたはいい人 できたでしょうね
街でばったり、昔の恋人に再会…… そんなさりげない出来事を軽快なメロディにのせて歌いあげる。元彼に未練はあれども、ジメジメとは無縁だ。70年代に歌った日本の原風景と乙女の純情とは真逆ともいえる、83年のリアルな女心。スナックのママはもちろん、OL にも人気のカラオケ曲となった。
忘れちゃならないのが「お久しぶりね」を歌うときのルミ子の姿。美脚を見せつける露出の多いドレスやレオタードで登場し、ときには男のダンサーたちと絡む絡む。清楚なワンピースで切々と歌っていた姿は、もう思い出せなくなるほどだった。
そして80年代最後の年、ルミ子はまたも、世間をざわつかせる。大澄賢也との結婚だ。84年リリースの「今さらジロー」以降、目立ったヒットは出ていないものの、女優としても活躍する当時36歳の大スター、ルミ子。対する賢也は、23歳の無名ダンサー。今思えば、女性が “上” の年の差婚、格差婚の走りだった。
その後、おしどりダンサー時代、泥沼離婚時代、「THEわれめDEポン」女雀士時代など、いろいろあったが、まあこれからは過去のヒット曲で呼ばれる懐メロ歌手ってとこかな。なんて勝手に思っていたら、2017年、ルミ子は意外な新キャラクターを打ち出してきた。筋金入りのサッカーファンというキャラだ。
年間2000試合見る、観戦ノートをつけている…… といったアピールが功を奏したのか、数多のサッカー好き芸能人の中からぐんぐん台頭。多くのサッカー関連番組に登場し、メッシへの愛を叫ぶ。
もう一度 もう一度生まれかわって
もう一度 もう一度めぐり逢いたいね
…… とばかりに、忘れかけた頃「お久しぶりね」と、イメチェンや新キャラで浮かび上がってくる、この強かさ。私は結構好きだったりする。
2019.07.20
YouTube / イータカリーナ
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