7月25日

ゴンチチとの出会い、ファーストアルバム制作までのいきさつ

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1983年3月にGONTITIの1st アルバムのレコーディングを行いました。まだ “GONTITI” という名前ではなかったので、「GONTITIの」は正しくないのですが。

その数ヶ月前、渡辺プロダクションの関西支社で働く佐脇章太くんから「福岡さん、これ聴いてみてください」と渡されたのは、彼らのデモ音源が入ったカセットテープ。ラベルには “ゴンザレス三上&チチ松村” と書いてありました。

アコースティックギター2本による演奏は、どこか南の島の木陰にそよぐ風を思わせるような、とても心地よいものでした。サウンドとして聴き心地よいだけではなく、メロディもよく、どの曲にも好感が持てました。

ただ、それをレコード化できるとは全く思いませんでした。ジャズならともかく、自分が仕事をしているポップスというか「流行りモノ」の世界では、歌もない、ギターだけのインストゥルメンタルなど市場に出せるとは思えなかったのです。

その少し前、渡辺プロ関西支社が『FRIDAY』という関西ローカル音楽バラエティTV番組を制作していたのですが、エンディングテーマを生演奏でやろうということになり、佐脇くんが以前ギターを習っていた先生に相談しに行きました。その先生がGONTITIの三上さん。三上さんは相棒の松村さんとともに、生エンディングを引き受けました。

二人ともサラリーマンだったので、テレビで本名は出したくありません。三上さんは敢えてアホらしい名前を、と “ゴンザレス”、松村さんはチャーリー・パーカーの曲「CHI CHI」をもじって “TiTi(チチ)” と名乗りました。

毎週違う曲を演奏するのでレパートリーを増やさなければなりませんでしたが、テレビ番組の制作は待ち時間が多く、二人はそれを利用して曲を作ったり、アレンジを考えたり、練習をしたり。おかげで、彼らならではの音楽スタイルがどんどん発展充実していきました。それを横で見ていた佐脇くんは、これは何とか形にしたいと、小さなスタジオでデモテープを作り、私にも聴かせたというのが冒頭までのいきさつです。

さて、うん、いいんだけど、どうすればいいのか、と逡巡していると、たまたま知り合ったポリスター・レコードのSさんが、「環境音楽レーベル」を作ることになり、アーティストを探していることが判りました。

ちょうどそのころ、エリック・サティが再評価されたり、ウィンダム・ヒルというレーベルが注目されたりで、「環境音楽」とか「ニューエイジ」といったジャンルが盛り上がっていたのでした。GONTITIの音楽が環境音楽とは思いませんでしたが、Sさんに聴かせるとOKがもらえました。

ただし音源制作費はポリスターからは出ません。私は上司に掛け合いました。そして、なぜその金額になったのかは覚えていませんが、会社(渡辺音楽出版)がアルバムの制作費として200万円、出してくれることになりました。

200万円という金額は、今や、インディーズなら充分ともいえる額でしょうが、スタジオ代なんかも高かった当時、1アルバム=1000万円あたりが平均だったと思います(そしてこの数年後には平均2000万円に高騰していきます)。200万円は相当に厳しい予算だったのです。

ともかくそこまでの「形」を用意して、私は大阪へ行きました。“ゴンザレス三上&チチ松村” のライブを観た後、彼らと会うためにです。

ライブでは、音楽はやはり心地よかったですが、曲間の二人のおしゃべりが実に間がよく面白く、さすが大阪人だと感心しました。演奏でフワ〜ンとしておしゃべりでドッと湧くという緩急の波。

ところが、その後対面すると、人が変わったように寡黙で、また驚きました。特に三上さんのほうは1時間ほどのミーティング中、時折微妙な笑顔を浮かべるだけで、一言も話さなかったと記憶しています。しかし、後日、寡黙だなんてとんでもないことが判明します。

三上さんは単にすごい人見知りだっただけなのです。ほんとは松村さんより三上さんのほうがうんとおしゃべりで、レコーディング中はほぼずっとしゃべり続け、私たちを笑わせ続けてくれたのでした。

さてその、総製作費200万円のすったもんだレコーディングの話は次回に……。

2017.09.03
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  YouTube / 音樂
 

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おすすめのボイス≫
1967年生まれ
にしやん
GONTITIが大好きなので、ファーストアルバム制作の話は興味津々です!
次回が楽しみ。
デビュー当初のGONTITIって毎年アルバムを出してたのを思い出しました
2017/09/05 17:55
3
返信
カタリベ
1954年生まれ
ふくおかとも彦
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