2021年 10月22日

デュラン・デュランの最新作「フューチャー・パスト」懐かしむより超えていけ!

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聴くなら今でしょ! デュラン・デュラン最新アルバム「フューチャー・パスト」


デュラン・デュランの新作『フューチャー・パスト』がカッコいい! 文句なくキャリア指折りの傑作だ。

ここ数年、売れに売れているアーティストと言えば、デュア・リパやザ・ウィークエンド、エド・シーランあたりだろうか。こうした現行アーティストが作り出しているブランニュー・サウンドからは明らかに80年代ポップミュージックの影響が感じられる。

―― そう、時代は何度目かの80’sリバイバルなのだ。

ただし、明らかに80年代と違うのは、リズムやビートの音作りだろう。それは生のドラムを使おうが、打ち込みであろうが、ヒップホップ以降の重低音をきちんと鳴らすことができているかどうか… が、大きなポイントなのだ。

本作『フューチャー・パスト』は、こうした2020年代のポップミュージックの基本を守った上で、それ以外の曲作りや上モノのアレンジについては、恐ろしく “あの当時” のデュラン・デュランの得意技を総動員して作られていると断言したい。

“あの当時” のファンは勿論、現在のポップリスナーをも虜にする説得力抜群のサウンドが鳴り響いているのだ。

2021年のサウンド、全英チャート最高3位


得意技満載のサウンドに耳を奪われがちなのだが、本作の魅力はそれだけではない。特筆すべきは、相変わらず浮ついた歌を聴かせてくれる、御年63、お孫さんまでいるお祖父ちゃん=サイモン・ル・ボン。彼が、今だに軽薄なニワトリ声でポップソングを歌ってくれて、何だか嬉しくて仕方ない。バラードだって、スティングみたいに渋くキメることは決してしないのがまた良いのだ。

そして、この軽薄なボーカルが王道デュラン・デュラン・サウンドにのるとムチャクチャ説得力あるものに聴こえてくるから不思議なのだ。

また、アルバムの大半の曲でギターを弾いているのが、元ブラーのグレアム・コクソンだ。ブラーの代表曲「ガールズ&ボーイズ」もデュラン・デュラン風のシンセやビートが導入された大ヒット曲で、デュラン・デュランの新作でもグレアムのギターは相性バッチリの音を聴かせてくれる。

充実した復活作となった本作は、チャートアクションも好調で、イギリスでは最高3位、全米でも最高28位という大健闘を見せている。

自らが生み出した80’sサウンドを最新モードにアップデイト


『フューチャー・パスト』=「未来における過去」と題された本作。一体、未来における過去とはどの時代を指しているのだろう?

未来における過去とは、80年代と言うこともできるし、これからの時代と言えるかもしれない。しかし、本作から聴こえてくるサウンドは紛れもなく2020年代のサウンドだ。そんなことからも『フューチャー・パスト』とは、すなわち、2021年の今現在のことを指し示しているのではないのだろうか!

メンバーの年齢を考えれば、これから10年先のサウンドを標榜するのもウソ臭いし、80年代の焼き直しでは何にも面白くない。かと言って、「これが今のサウンドだ!」と声高に叫ぶことができるほど、2020年代のポップミュージックは単純ではない。

かつてモータウンが「サウンド・オブ・ヤング・アメリカ」と言い切れた時代とは明らかに違うのだ。複雑な要素が絡み合う現在のポップミュージックシーンにおいて、デュラン・デュランは自らが生み出したと言っても過言ではない80’sサウンドを最新モードのポップにアップデイトすることに成功している。

ベテランアーティストが出す新作では、よく用いられる手法で、目新しいアイデアでは全くないのだが、大抵の場合は、アップデイトしきれなかったり、自分の得意技まで封印する無理のあるパターンになることが多いように感じる。

そうした失敗に陥ることなく、一見、自然体に見えつつも、外部からの血を積極的に取り入れたり、自らもアイデアや工夫を凝らして本作を完成させたことはとても大きな成果と言えるだろう。

今後の活動にも期待を持たせてくれる充実した復活劇となった本作は、“懐かしむより超えていけ!” ってこういうことだよなと痛感させてくれる作品だ。


追記
私、岡田浩史は、クラブイベント「fun friday!!」でDJとしても活動しています。インフォメーションは私のプロフィールページで紹介しますので、併せてご覧いただき、ぜひご参加ください。

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2021.12.18
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カタリベ
1972年生まれ
岡田ヒロシ
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