2月2日

デュラン・デュランは女子のもの?そんな線引きがあったのかもしれない

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ミック・ジャガーも言及、デュラン・デュランのロック性


僕が中学生だった頃、同級生の女の子に一番人気のあったバンドがデュラン・デュランだった。ルックスのいいメンバーが揃っていたし、少しかっこつけた感じの曲も時代の空気に合っていた。僕ら男子中学生にもおおむね人気はあったが、夢中になることはなかった。

「デュラン・デュランは女の子達のもの」

そんな線引きが、なんとなくあったのかもしれない。

最初に聴いた曲は「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」だった。直訳すると「狼のように飢えて」。かっこいいなと思った。他にも「ユニオン・オブ・ザ・スネイク」、「ニュー・ムーン・オン・マンデイ」など、曲のタイトルにほのかな文学性が感じられた。おそらく、言葉に対する意識が高かったのだと思う。

デュラン・デュランのヒット曲は、どれもビートの効いたロック色の濃いポップミュージックだった。アイドル然としたルックスのせいか、音楽的に語られる機会はほとんどなかったけれど、可愛らしい曲を歌わないところは好感がもてた。

当時、ミック・ジャガーが「彼らもああ見えて、けっこうロックっぽいルーツをもっているんじゃないかな」と言っていたのを覚えているし、ライバル視されていたカルチャー・クラブのボーイ・ジョージからは、「所詮はロックバンドだからね」と含みのある言い方をされていた。

パワー・ステーションとアーケイディア、メンバーを2分したサイドプロジェクト


そんな彼らの音楽的な趣向が明確になったのは、メンバーを2分したサイドプロジェクトにおいてだった。

ジョン・テイラーとアンディ・テイラーによるパワー・ステーションは、ヴォーカルにロバート・パーマー、ドラムにトニー・トンプソンという強力な布陣を配し、ファンキーなビートとハードエッジなギターを全面に押し出したダンスミュージックだった。

これに対して、サイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ロジャー・テイラーによるアーケイディアは、ハービー・ハンコック、デイヴ・ギルモア、スティング、土屋昌己等の豪華ゲストを迎え、ヨーロッパの耽美主義をベースにした陰のあるシンセポップと呼べるものだった。

このふたつのプロジェクトは、バンドの “種明かし” と言ってもいいくらいわかりやすいものだった。“ビートの効いたダンスミュージック” と “陰のあるシンセポップ”。これらがいい塩梅で交じり合い、そこにキャッチーなメロディーと視覚的な要素が加わることで、デュラン・デュランは世界的な人気を獲得することとなった。

その音楽の背景は、グラムロック、ディスコビート、ニューウェイヴ…


そんな彼らの音楽の背景にあったのは、メンバーが10代のときに聴いたデヴィッド・ボウイやT・レックスなどのグラムロック。シックなどのファンク寄りなディスコビート。同時代の音として浴びたニューウェイヴ。ジャパンの存在。

そうした音楽から彼らは多くを学び、独自の音楽を創り出そうと真剣に取り組んできたのだと思う。そうでなければ、これほど長くキャリアをつづけることはできなかったはずだ。

かつてニューロマンティックと呼ばれたバンドの中で、メンバーの出入りこそはあったものの、1度も解散することなく今も活動をつづけているのは、デュラン・デュランくらいなものだ。

今改めて、当時のヒット曲の隙のないサウンドや、綿密に作り込まれた PV を観て思う。カメラの前ではアイドルのような笑顔を振りまきながら、音楽と向き合う時には真剣な表情を滲ませていたのではないか。デュラン・デュランとは、そういうバンドなのではないかと。


※2017年4月19日、2020年2月2日に掲載された記事のタイトルと見出しを変更

2021.02.02
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カタリベ
1970年生まれ
宮井章裕
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