5月25日

誘惑と過ごした「ヘブン17」の記憶。十代で夢中になったものは一生忘れない

22
0
 
 この日何の日? 
ヘブン17のアルバム『ザ・ラクシャリー・ギャップ』が日本でリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1983年のコラム 
角松敏生「ON THE CITY SHORE」自らプロデュースした本当の意味でのデビュー作!

村上 “ポンタ” 秀一との仕事、チャクラのアルバム「南洋でヨイショ」

J-POP 創生の立役者、細野晴臣の存在感(後篇)

総尺1分3秒、松田優作と薬師丸ひろ子の長すぎたキスシーン

歌手・薬師丸ひろ子のきっかけとなった「探偵物語」松本隆、大滝詠一との出会い 

吉本ばなな短編集で出会った、エクソシストからのムーンライト・シャドウ

もっとみる≫




思い返せば、初めて熱烈に洋楽に入れ込んだ時期は17歳になったばかりのころだった。時は1983年、ビルボードのヒットチャートに UK勢が大挙して押し寄せた、いわゆる第二期ブリティッシュ・インベイジョンの真っただ中。UKロックに入れ込みはじめていた自分には、やたらと面白い時期だった。極私的・第一期ブリティッシュ・インベイジョンだった… ともいえる。

USチャートには上がらない、UK のヒット曲でさえ聴くのが楽しくて、貸レコード屋に入荷したものは片っ端から聴いた。ラジオのエアチェックも欠かさない。とはいえ、田舎だから貸レコ屋の入荷数にも限界がある。ラジオにしても FM は NHK のみだから、聴きたくても聴けない曲がある。それでも、音楽誌で気になったアレもコレも聴きたい。誘惑には事欠かないが、使えるお金にも、これまた限界があった。

“面白いレコード、買ったど” と、ある日、洋楽仲間のタカハシ君が学校に持ってきたのがヘブン17の『ザ・ラクシャリー・ギャップ』。貸レコ屋にも入ってなくて、どうしたもんかなあ… 、と思っていた矢先のラッキーである。ラジオ日本の『全英TOP20』で耳にした全英ヒット曲「テンプテーション」は、AMラジオのざらついた音質でも十分かっこよく聴こえたし、元ヒューマン・リーグのメンバーによるトリオという前情報も気になっていた。何より小説&映画『時計じかけのオレンジ』のセリフからバンド名を持ってきたのがクールに思えた。タカハシ君に “貸して!” と即答。

このころの UKシーンは、デュラン・デュランを筆頭にしたニューロマンティックから、カルチャー・クラブ、ザ・スタイル・カウンシルなどのニューソウル、バウハウスのようなゴシックまで、多彩なジャンルが花開いていた。エレクロトポップも前年からの勢いを持続させていたが、ヘブン17は、その新たな旗手として注目を集めていた。

いざ聴いてみると、エレクロトポップと言っても、非常に独得であることに気づく。低音がどっしりしている。ヒューマン・リーグや OMD のような他のエレポップバンドに比べて、ボーカルに張りがある。そして何よりファンキーで、グルーヴがあり、ダンスしやすい。ジャケはこのころの UK のバンドにしては、ちょっとダサいかな… と思ったが、それでも音はかっこいい。

ヘブン17は残念ながら、全米では大きな成功を収めることができなかった。それでも個人的にはイギリスの裾野の広さを知るに十分だったし、UKロックにさらにディープにのめりこむきっかけとなった。「テンプテーション」は今でもときどき無性に聴きたくなるし、“うっ、うっ、はっ、うっ、はっ、はっ” というコーラスが映画『少林寺』のテーマ曲に似ていると当時話題になったオープニング曲「ホイールズ・オブ・インダストリー」も高揚してしまう。

ちなみにリリースから十数年後、「テンプテーション」は映画『トレインスポッティング』のクラブのシーンで使用され、再びヘブン17にスポットライトが当てられることになった。

そんな出来事が鮮烈であるのも、17歳時に UKロックに入れ込んだ、筆圧の強い記憶のせいだろう。誰でもそうだが、十代で夢中になったものは一生忘れない。誘惑と妥協の狭間で、ギリギリまで欲しいものを追い求めたあのころ。ネットもない時代ゆえ、音源や情報の収入は大変ではあったけれど、とにかく夢中だった。ある意味、ヘブンであった。

2019.05.14
22
  YouTube / Heaven17VEVO
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1966年生まれ
ソウママナブ
コラムリスト≫
27
1
9
8
3
当時はまだ20周年!ストーンズの映画「レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー」
カタリベ / 本田 隆
17
1
9
8
5
イギリス北部の町の情景、ドリーム・アカデミーが奏でる郷愁のメロディ
カタリベ / 宮井 章裕
11
1
9
7
9
イアン・ハンター「クリーヴランド・ロックス」君はいつラジオの音量をあげたか?
カタリベ /  白石・しゅーげ
48
1
9
8
4
35年前のティーンネイジドリーム、7月20日は【1984年】に時間旅行!
カタリベ / 古木 秀典
164
1
9
8
4
プリテンダーズの最高傑作、No.1女性ロックヴォーカルは彼女で決まり!
カタリベ / 藤澤 一雅
26
1
9
8
2
ABCの華麗なる変貌、MTVの波に乗ってポストパンクからエレクトロポップへ
カタリベ / moe the anvil