80年代の中学生から高校生への多感な時期、毎週わくわくしながら聞いていた深夜番組が、ラジオ日本の「全英TOP20」だ。現地の最新チャートやリリースしたばかりの曲が聞ける番組は、当時とても貴重だった。パーソナリティは、音楽評論家というよりパンク好きの気さくな兄ちゃんといったほうがぴったりくる大貫憲章と、英語が得意なミーハー女子大生・スヌーピーこと今泉圭姫子(当時は恵子でした)。2人の楽しい掛け合いも大好きだった。
先日、当時の思い出を振り返る、「全英TOP20友の会」というイベントが開催され、私も参加したのだが、イベントの途中、スヌーピーは突如私の名前を呼び、こう言った。
「大貫さん、私たち彼女にあやまらなくちゃいけません!」
それは1982年に遡る。番組内で、クイーン結成10周年を記念する「クイーン作文コンテスト」という企画があった。『ホット・スペース』というアルバムがリリースされた頃だ。15歳だった私はコンテストに応募して入賞し、作文はレコードのライナーノーツに掲載された。といってもクイーンではなく、クイーン結成前にブライアンとロジャーがやっていたスマイルというバンドの再発アルバム。だが、賞品でもあったそのレコードは、なぜか私のもとには送られてこなかった。
友の会に参加希望メールを送ったとき、当時の思い出としてそのことを書いた。すると、スヌーピーは私のメールを読み上げ、「ほんとうにごめんなさい。それはがっかりしたでしょ」と、みんなの前で詫びてくれた。さらに、イベント終了後、「こんなものでごめんなさい」と言って、クイーンのノベルティグッズのクリアファイルを渡してくれた。
クリアファイルが欲しいかどうかはさておき… 当時のことをお詫びしてくれるとは思わなかった。30年以上前のことを書いてくるなんて、執念深いやつだと思われてるんじゃ、という気持ちもよぎったが、私を見るスヌーピーも、イベントに参加していたTOP20ファンも優しい眼差しで、ほっとした。
ちなみに、大貫さんは、「あー、そういうこと、当時はよくあったんですよね。僕らが賞品を発送してるわけじゃないんですよ(笑)」と茶化してましたが、なんだかそれもよかった。あの茶化しがなかったら、うっかり、ほろりとしちゃったかもしれないから。
2016.12.13
YouTube / Queen Official
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